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私たちの活動

【ウクライナ】チェルニヒウの病院に提供したCTが稼働し、さまざまな病気の診断が可能になりました

ウクライナ北部チェルニヒウ州にある州立地域病院、州立子ども病院、州立精神神経科病院では、2022年2月のロシア軍によるウクライナ侵攻に伴う空爆や戦闘によって院内にあった検査機器が壊され、必要な検査ができない状態が続いていました。このため、ピースウィンズは2023年2月、地域病院と子ども病院にCT(コンピュータ断層撮影装置)を、精神神経科病院に液体の成分を分析するガスクロマトグラフィー(GC)を提供し、それぞれの病院で必要な検査ができるようになりました。
 
*検査の負担を軽くする最新のCT
 
今回提供した「64列マルチスライスCT」は、機械が1回転すると64の断面画像を一度に撮影することができ、短時間で詳細なデータの収集ができる高性能のものです。従来のCTでは長く息を止められない人は繰り返し息を止めたりしていたのがほぼ1回の息止めで撮影できるようになり、高齢者や子どもの負担が軽くなります。地域病院では、月に300人近くがCT検査を受けて、病気が発見された人を適切な治療につなげられるようになりました。病院の医師は、「以前使っていたCTにはなかった高度な検査機能がこのCTには付いている。それによって今まで発見できなかった病変も診断できるようになりました」と、最新のCTを導入した意義を強調しています。
 

子ども病院に設置された「64列マルチスライスCT」
チェルニヒウ州の子ども病院

 
CT2台は昨年6月に地域病院と子ども病院にそれぞれ納品されましたが、放射線を使うCTを設置するには専用の検査室を整備する必要がありました。そのための改修工事、行政の認可手続きも経て、地域病院では今年5月、子ども病院では9月にCTの活用を始めることができました。
 

地域病院は32の診療科と690床の入院設備を持ち高い水準の医療を提供する

 

子ども病院に設置された「64列マルチスライスCT」

 

CT検査を行う地域病院のスタッフ

 
 

頻発する停電の時もCTが使えるようUPS(無停電電源装置)も設置しました

 
*州内唯一のガスクロマトグラフィー
 
精神神経病院に提供したGCは昨年9月に納品され、翌月に稼働し始めました。同病院は州内唯一のGC設置病院として、他の病院や警察、政府機関からの依頼も受け、血中に含まれるアルコールや薬物の濃度や成分の分析を行ってきました。病院による成分の鑑定結果は、急性アルコール中毒患者の診断や飲酒運転の判定などに活用され、医療現場でも法医学の分野でも役立っています。
 
病院の臨床検査技師は、「新しいGCの導入によって、ロシア軍の侵攻前に比べて倍の数の検査ができるようになりました。分析精度も格段に向上しました。今まで時間をかけて手動で行っていた薬物濃度の分析も、短時間で行うことができます」とGCのメリットを説明します。
 

新しいガスクロマトグラフィーの効果を説明する臨床検査技師

 

血中成分の分析に必要な各種器具も提供しました

 
ウクライナ各地ではロシア軍による病院への攻撃が相次いでおり、多くの人々が必要な医療を受けられない状態が続いています。ピースウィンズは、戦争の影響を受けている人々が少しでも安心して暮らせるよう、今後も現地で必要とされる支援を届けていきます。
 
この事業はジャパン・プラットフォームからの助成を受けて実施しています。

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