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私たちの活動

【スリランカ】洪水の被災者を訪ねて

スリランカ全土を襲ったサイクロンと、それによる洪水や土砂崩れの発生から2か月が過ぎた先月、ピースウィンズスタッフがトリンコマリー県の被災者を訪ねると、快く迎えてくれた2組の家族が「被災者」として体験した被災当時の様子を話してくれました。

県南部、ムトゥール郡に暮らすナフィースさん(50歳男性)は、定職がなく、農業や漁業、日雇い労働のほか、注文に応じて行う軽食作りなどで、家族3人と時たま訪れる孫たちを養ってきました。

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右側がナフィースさんと妻、訪ねてきていた孫

2025年11月27日。大雨が降り始め、同月30日には県内を流れる最大の河川・マハベリ川支流などからの洪水が発生。水はナフィースさんの自宅にも流れ込みました。

同じ頃、同じムトゥール郡の別の村に住むマドゥサナさん(女性)は「どうしていいかわからない」気持ちを抱えていました。

「大雨のため、家の敷地に少しずつ水が入り始めた夜、私たちは何が起こるのかと不安になりました。でも、これまでに大雨が降った時でも一度も家の中に水が入ったことはなかったので、大した問題にはならないだろうと思っていました」。マドゥサナさんを含む多くの住民の予想とは裏腹に水位は上がり続け、警察から一本の電話が。「川の一つが氾濫し、貯水池の堤防が決壊した。家を離れてください」

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マドゥサナさんの家。左奥に水辺が見え、土地の低さがうかがえます

マドゥサナさんは夫とともにゴザと枕、着替えを一組携えて、ナフィースさん一家は身分証だけを握りしめて避難所へ逃れました。「翌日には家へ帰れると思ったんだ」とナフィースさんは当時を振り返ります。

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すし詰め状態の避難所の様子
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大きく崩れた堤防から、大量の泥水が多くの集落に流れ込みました

5日間の避難所生活を経てようやく自宅に帰ったナフィースさん一家が目にしたのは、泥で埋まった家や、壊れた作業小屋でした。心臓に持病のあるナフィースさんの代わりに、集落の若者たちが泥のかき出しを手伝ってくれましたが、これまで使っていた寝具やキッチン用品、電化製品のほとんどは壊れたり、汚れたりして使えなくなってしまい、一家は大きなショックを受けたといいます。

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浸水被害を受けたキッチン。井戸水で洗っても、こびりついた匂いは取れません

マドゥサナさんは、水が引いた後に家へ戻ると、小さな家の敷地全体が泥に覆われ「元の姿が分からないほど」の状態だったと振り返ります。

掃除用の洗剤やきれいな水は十分にないものの、どうにか生活を立て直そうと、衣類用の粉洗剤と井戸水を使って部屋を掃除し、その後、水道水でもう一度掃除しました。サイクロンが通り過ぎてからも雨は降り続き、日雇い労働を主な収入源にしている夫は悪天候のために数日間仕事を見つけることができず、マドゥサナさん夫妻は日常生活もままならない日々を過ごすことになりました。

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水が引いた後、どこから手をつければ良いか分からないほど

こうした中、当団体は、トリンコマリー県内で特に被害の大きかった4つの郡の1,267世帯へ、デッキブラシや消毒剤などの清掃用具、蚊帳や蚊取り線香といった感染症予防に役立つ物品、枕やゴザなどを配付し、被災後の生活を凌ぐための支援を行いました。

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ムトゥール郡で行った物資配付の様子(12月)

ナフィースさん一家は、受け取った清掃用具で家の掃除を行うことができ、また、蚊帳や蚊取り線香によって蚊が媒介する感染症から身を守ることができ、目の前の生活の安心感を取り戻したと話します。

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ナフィースさんの妻(右側)が手に持つ掃除用具は、当団体が支援したもの

マドゥサナさん夫妻は「支援していただいた洗剤や消毒剤を使って、家をもう一度きれいにし、服もいくつか洗うことができた」と笑います。「これらの品すべては今の私たちの状況に必要なものでしたが、自分たちで買う余裕はありませんでした。本当に大きな助けになりました」

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「蚊帳や枕、マットはこのように毎日使っています」と見せてくれたマドゥサナさん

それでも、この洪水が今後の生活へ与えた影響は依然として深刻です。

マドゥサナさんは「これから仮設の台所を作り、井戸も掃除しなければなりません。そして何より、私たちの土地はとても低い場所にあるので、地面そのもののかさ上げが必要です。これを自分たちだけでどうやっていったらよいのか…」と途方に暮れたように話します。

ナフィースさんの畑は壊滅的な被害を受け、飼っていた鶏は52羽から17羽にまで減ってしまいました。細々と行っていた軽食販売も、キッチン用品などがなくなってしまったため再開できずにいます。さらに、生活用水として日常的に使っていた井戸は汚染され、洪水によってタンクが一杯になってしまってトイレが壊れるなど、衛生的にも深刻なリスクを抱えたままです。

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ナフィースさんの妻は、屋外にあるトイレが「ここまで浸水した」と指し示してくれました

ナフィースさん一家は「緊急のニーズに応えてくれた」と、当団体の物資支援に深く感謝しつつも、「私たちは家財と収入源を失いました。持病のため、重労働はできません。今回の支援は私たちに希望を与えてくれましたが、生計の再建やトイレの修理などのために、まだ皆さんの助けが必要です」と語ります。

マドゥサナさんやナフィースさんだけでなく多くの被災者は、災害からの完全な回復に向けて、収入活動の再開や井戸の清掃・トイレの修繕など生活環境の立て直しにさらなる支援を切実に必要としています。皆さまが心を寄せてくださることが、彼らにとって大きな力となります。引き続き私たちの活動にお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。

※この支援活動は皆様からのご寄付やジャパンプラットフォームからの助成によって実施しています。

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