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【南スーダン】「みんなの井戸」が完成しました!

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が、南スーダンで2011年11月から開始した「みんなの井戸」プロジェクト。昨年7月に独立した新しい国の人びとを支えてくださった皆さまの名前とメッセージを入れたプレートは、2012年3月24日に井戸に貼り付けられました。
「みんなの井戸建設プロジェクト」特設ページ


ご寄付いただくのみならず、ご寄付いただいた方の名前やメッセージを目に見える形で南スーダンに残すことが、一人ひとりの心に刻まれ、良い記念になるような企画を立ち上げたい。そんな思いをもって、「みんなの井戸」プロジェクトが始まりました。
「みんなの井戸」を建設したのは、自衛隊が国連平和維持活動(PKO)のために駐留している南スーダンの首都ジュバから北へ車で約10時間かかる、ジョングレイ州のアユッドという小さな町。あの有名なピューリッツァー賞を授賞された「ハゲワシと少女」という写真が撮られた町です。そのアユッドの郊外にある村「Kuer Nor」を建設地に選びました。
この村には60家族が住んでいます。人びとは毎日30分かけて一番近い井戸へ水を汲みに行っていました。その井戸にも、他の村からの住民たちがやってきて長い列を作っており、水を汲むだけでとても長い時間が必要でした。

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水を汲む為並べられたタンク (C)PWJ

この村の周りは砂地となっていて、井戸の建設も簡単ではありませんでした。井戸掘削予定地に向かう途中で、井戸掘削機械を載せた大きなトラックのタイヤが砂に埋まってしまい、止まってしまうこともありました。資材を積んだ別のトラックなどは、砂に埋まって抜け出そうとする際にギヤボックスが焼き切れ、故障してしまいました。結局、他のトラックにワイヤーで結びつけ、無理やり引っ張り出さなければいけませんでした。

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止まってしまった掘削機トラック (C)PWJ

しかし、いったん掘削が始まると水は比較的簡単に見つかり、建設は約3日で完了しました。井戸の深さは80mで、アユッドとしては平均的な深さでした。井戸の掘削機が大きな音をあげて地面を掘っていく作業を見るために、多くの住民が集まりました。生まれて初めてこんな大きな機械をみる子どもたちも興味津々です。

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井戸掘削を眺める子供たち (C)PWJ

井戸を建設する際には、事前に村長を含めた村の人びとと話し合い、水管理委員会という組織を立ち上げてもらいます。これは、自分たちで責任を持って井戸を管理していってもらうためのものです。そして、村人たちが協力し合って、林から切り出してきた木を使って、井戸の周りにフェンスを作ってもらいます。これにより、放し飼いの牛が水を飲みに来た際に、井戸のコンクリート部分を壊してしまうことを防ぐことができます。

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衛生・維持管理の講義風景 (C)PWJ

井戸もフェンスも完成し、とうとう引き渡しの日になりました。その日は水管理委員会のメンバーを対象に、衛生・井戸管理についての講義を行います。きれいな水を入手した後、それを清潔なまま保管して使用するため気を付けるポイントを学んでもらうことが重要です。そして、井戸を自分たちで維持管理するために必要な事柄について、写真を使い、事例を挙げて説明します。
その講義の後、村人に「みんなの井戸」という企画について説明しました。遠い日本からKuer Nor村に清潔で安全な水を届けるために、一般の人びとが寄付を行ってくれたこと。そして、彼らの名前とメッセージがこの井戸のポンプに貼り付けられることなどを話しました。「ある女性は、自分に子どもがいないため、せめて南スーダンの子どもたちのために井戸を作るお手伝いをしたいということで寄付をしてくれた」という話をすると、返答として村長さんからていねいなお礼の言葉をもらいました。

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プレートが付いた井戸 (C)PWJ

引き渡しの前には、日本から持ってきたギターを使って、自分で考えた「みんなのいどいど」という簡単なフレーズを子どもたちと一緒に歌いました。村の太鼓も参加して、子どもたちは笑顔いっぱいで歌を歌ってくれました。
この引き渡しの2週間後にKuer Norを再度訪れ、プレートを井戸のポンプ部分に貼り付けました。ドリルが折れてしまうという予期せぬハプニングもあり、すべてのプレートを貼ることはできませんでしたが、また新しいドリルを購入し、責任を持って全プレートを貼り付けたいと思います。私たちが訪れると、子どもたちが口々に「みんなのいどいど」と歌い出したのには驚きました。この2週間の間、ちゃんと覚えていてくれたのです。今この時も、プレートを付けた「みんなの井戸」は、住民に清潔な水を供給し、子どもたちは歌を歌っていることでしょう。
これまでの現地活動ルポ
「みんなの井戸建設プロジェクト」特設ページ
報告者:石川 雄史(南スーダン駐在)

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