【モルドバ】ウクライナ避難民も一緒に食料や生活物資を配付しました
ウクライナの隣国、モルドバには約12万人のウクライナ避難民が暮らしています。戦争の長期化に伴って避難生活が長くなる状況下、モルドバ政府は避難民がモルドバ社会に溶け込んで暮らしていけるよう統合政策を進めています。
その一環として、多くのウクライナ避難民の生活の場であった一時避難所(Refugee Accommodation Center:RAC)は統廃合され、これまでに136ヵ所あったRACは、2023年末の時点で44ヵ所にまで減りました。RACにいられなくなった人や、新たにモルドバにやって来た避難民は、働くことを条件にモルドバ政府から家賃補助を得て賃貸住宅を探したり、知人宅に身を寄せたりすることになります。しかし、様々な事情で働くことが難しい人々や、職を見つけたとしてもパートタイムなどで十分な収入の得られない人々は、何らかの支援を受けない限り、生活を成り立たせることができません。このため、食料や生活物資の支援を必要としている避難民は今も少なくありません。
ピースウィンズは、モルドバの市民活動「Moldova for Peace」と協働し、キシナウ市内最大規模の物資配布センター「モルドバフィルム(映画の撮影所だったため、この名前で呼ばれる)」で、この2カ月で合計4,950セットの食料キットを配付しました。「Moldova for Peace」は、ウクライナの人々を支えるために複数のモルドバのNGOが共同で設立した国内最大規模の市民活動のプラットフォームです。
「Moldova for Peace」のナタリアさんによれば、侵攻から2年が経過し、多くの国際支援団体がモルドバでの事業から撤退する中で、配付できる食料はいつも足りない状況で、今年1月末にはとうとう配付できるものがないところまで追い詰められたといいます。
またナタリアさんは、食料以外に生活物資の支援も引き続き必要だと訴えます。たとえば、おむつ。モルドバで暮らす避難民のほとんどが女性と子ども、高齢者であるため、子どものみならず大人用のおむつも恒常的に不足しています。
「モルドバフィルム」では、ウクライナから避難してきた人たちもスタッフとして支援活動に参加しています。出身はそれぞれ異なり、キシナウから比較的近いオデーサ出身の人もいれば、現在ロシアが実効支配する東部出身の人もいます。みんな、様々な背景を抱えていますが、それでも明るく、助け合って活動にあたっています。3月中旬の土曜日には、ウクライナ人スタッフやモルドバ人のボランティアが協力して、1000個を超える食料キットを袋詰めしました。
ウクライナ本国への支援や復興に注目が集まる中で、周辺国に暮らす避難民や、彼らを支える周辺国の負担は忘れられがちです。特に欧州最貧国といわれ、自らも多くの社会課題を抱えながらも多くの避難民を受け入れているモルドバ社会の負担は大きくなっています。ピースウィンズは、今後もウクライナから避難してきた人々とモルドバの人々への支援を続けていきます。
この事業は提携団体Moldova for Peaceと協働して、みなさまのご寄付とジャパンプラットフォームの助成によって実施されています。