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【南スーダン】「すべての脆弱な立場に置かれた人々のために」— プロテクションオフィサーとしての思い

2024年7月に、南スーダン事業に新しくプロテクションオフィサーとしてアチャヨ・ダイアナが加わりました。子どもを育てる母親でもあるダイアナに、人道支援分野を志したきっかけやピースウィンズで成し遂げたいことを聞きました。
 

ダイアナ個人写真

 
※プロテクションオフィサーとは
支援活動の現場で、特に社会的に弱い立場におかれている人たちが配慮され権利が守られるよう、働きかけたり、援助していく役割を持ちます。例えば、私たちが支援を行う南スーダンの難民居住地区では、トイレの設置場所が遠かったり、スクワットの姿勢ができないなどで、お年寄りや障害者の方々は屋外で排泄せざるを得ないという状況があります。プロテクションオフィサーは、そうした場面で、彼らに配慮した特別なデザインのトイレが必要であることや自宅から近い場所にトイレがあることが大切であることなどをコミュニティに啓発したり、トイレのデザインを弱い立場に置かれている人々と一緒に考えたりしています。また、性別によって差別や暴力を受けている人びとを守り、コミュニティの人びとにそうした人びとを守ることの大切さを説明し、だれもが安心して暮らせるコミュニティづくりにも取り組んでいます。
 
■人道支援分野で働こうと思ったきっかけはなんですか?
 
私は、様々な環境に置かれた子どもたちや難民、身体的あるいは精神的障害者、社会的・経済的に虐げられている人びとの声を聞きながら育ち、そうした人びとが社会に参画し、意思決定をする権利が奪われていることを見てきました。脆弱な立場に置かれた人びとの社会生活が改善されることを見たいという情熱が、人道支援分野で働きたいという熱意を駆り立てました。
 
■なぜプロテクションオフィサーになることを決めたのでしょうか?
 
プロテクションオフィサーというのは、ピースウィンズから与えられた肩書にすぎません。私は、肩書にとらわれず、社会に暮らすすべての脆弱な立場に置かれた人びとやグループの権利をエンパワーし、啓発し、尊厳を回復するために、また人びとが公平な機会と権利を得られる社会づくりのために働いています。
 

中央エクアトリア州ジュバ郡ゴロム難民居住地区の小学校で、学校衛生クラブの子どもたちと一緒に(一番前、右側がダイアナ)

 
■子ども時代はウガンダで育ったと聞きました。
 
はい、私は2011年に自分の祖国である南スーダンを見るまでは、ウガンダで生まれ育ちました。初めて自分の国、南スーダンを見たときはとても興味深く、一方で南スーダンでの生活はウガンダでの生活とは違い、治安も不安定で不安になり、そうしたことから複雑な気持ちもありました。
 
南スーダンで暮らす親戚に初めて会い、先祖代々の土地や紛争を生き延びた祖父のバナナ農園を見て、そこで採れた果物を楽しめることにわくわくしました。
 
■ウガンダでの子ども時代は、どのようなものでしたか?
 
ウガンダでは、北部の難民居住地区で両親と暮らし、難民の学校で幼稚園と低学年の初等教育を受けました。そこでは毎日、学校まで往復約14キロを歩いて通っていました。(補足:成人でも3時間以上かかるような距離です!)そのあと、私たち家族は難民居住地区から引っ越しましたが、私は引っ越し先でも高学年の初等教育を受けることができました。ですが、私が一緒に勉強をしていた多くの女の子たちは、早婚のために学校をやめていきました。私の場合は、両親自身も教育を受けていたこともあり、彼らは私の教育に理解を示し、応援してくれ、私には勉強する道が開かれました。
 
一方で、女の子として、教育面での難しさにも直面しました。私が小学校3年生のとき、母は成人教育を受けることにしました。その後、母が出産すると母は子育てのために学校をやめましたが、私も面倒を見るために学校を辞めざるを得ず、約3年間学校に行けませんでした。これは私が、唯一の女の子だったために経験しなくてはならなかった困難でした。
 

月経衛生管理キットの配付で、女子生徒に対し、女性として自信を持つこと、生理は恥ずかしくないことを伝えるダイアナ

 
さらに私は、父方の叔父を亡くし、父は6人の未亡人とその子どもたちの世話を任せられました。そんな大家族での暮らしは、支援団体からの食糧支援だけでは足りず、両親は食料や収入を補うために農業をやり、家畜を育て、アルコールを作りました。しかし、子どものころから生活環境は良く、両親が私を育てるためにたくさん苦労したのだろうと、今になると思います。
 
■人道支援従事者として、成し遂げたいことを教えてください。
 
私の願いは人間の尊厳が回復され、それぞれのコミュニティが人間関係の大切さを理解することができるなど、自分たちで問題を特定し、優先順位をつけ、対策を考え、資源を動員し、協力できる力を与えられたコミュニティを見ることです。
 
また、現在はジェンダー学の修士号の取得に取り組んでいます。今もまだ、家父長制などによって社会にジェンダーの不平等が存在しています。私は、インクルーシブな社会を目指し、性別に関係なく、みんなが同じ権利と機会を与えられる公正な社会に向けて前進する必要があると考えています。
 
私の願う未来を見るために、肩書にとらわれず、引き続き社会に暮らすすべての脆弱な立場に置かれた人びとやグループのために働きます。
 

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