【シリア難民支援】厳しい冬に備え、子どもたちにコートの配布を開始
ピースウィンズ・ジャパンは11月13日、イラク北部に差し迫った厳しい冬に備え、ドミズ難民キャンプ内にある小学校のシリア難民児童を対象に、冬用コートの配布を開始しました。この日は、複数ある小学校の一つであるカミシュロ小学校の児童の内、472名への配布を完了しました。ドミズ難民キャンプのあるイラク北部ドホーク州では、冬場の冷え込みが厳しく、気温が氷点下まで下がり雪が降る日もあります。今回、コートは隣国トルコで調達、軽くて防寒にすぐれた素材で、女の子にはピンク色か赤色、男の子には黒色を用意し、それぞれの年齢の子どもに合ったサイズを提供しました。配布にあたっては、事前に現地政府や国連機関、他団体と調整し、現地NGOとの協力で実施しました。
カミシュロ小学校は現在、プレハブを配置した仮設校舎で運営されており、ピースウィンズも校長室と職員室のプレハブを提供しています。学年・クラス毎に担任の先生が子どもたちを引率し、子どもたちは順番に並んでコートを受け取りました。子どもたちはさっそく受け取ったコートを着て嬉しそうな顔を見せていました。
写真左:順番に並んで待つ子どもたち
写真右:女の子にコートを着せてあげる配布担当スタッフ
子どもたちを引率していた体育教師のヌバール先生は、自身も1年3か月前に内戦が激化するシリアの首都、ダマスカスから兵役を逃れるために イラク北部へ避難してきました。当初はドホーク州にある町の食堂で住み込みで働いていましたが、本来の職業である教師の仕事をするため、ドミズ難民キャンプに移り住み、1年前から小学校教師として勤務しています。ヌバール先生は独身で、「母国にいれば、結婚したり家庭を持ったりすることも考えられるが、難民キャンプでは将来の計画を立てることが難しい」と自らの境遇に不安を抱きながらも、「子どもたちには、体育の授業で思い切り体を動かしてもらい、戦争の記憶を少しでも忘れてもらえたら」と話します。
写真:インタビューに答えるヌバール先生
ボールなどの体育用品や遊具が不足しているなか、この日、ヌバール先生の授業では、PWJが配布した新しいコートを着た子どもたちが、遊具がなくてもできる、鬼ごっこのような遊びを習いながら、元気に歓声を上げていました。ピンクのコートを受け取ったジハンちゃん(7歳、2年生)は、「ピンクは私の好きな色だからうれしい。学校は大好きで、放課後もおうちで勉強しているの。将来は先生になりたい」と、少しはにかみながら話していました。
PWJは、カミシュロ小学校を含め、ドミズ難民キャンプにおいて、6,000人の子どもたちに冬用コートを配布する予定です。
写真左:鬼ごっこをする子どもたち
写真右:もらったコートを着たジハンちゃん(中央)と友人たち
報告:原田靖子(イラク駐在)
※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や皆さまからのご寄付により実施しています。