【韓国 山火事】小さなテーブルの上での寄り添い、傾聴から始まる心理サポート
ピースウィンズは、3月21日の山火事発生から3週間が経過した時点で、被災者を対象に集団での心理支援を実施しました。
発災当時、多くの被災者の方々が避難所に集まっており、環境の変化と山火事の衝撃により混乱を感じていました。そこで私たちは「ムービングオンマインド」と共に、トラウマの回復を中心としたアートセラピーやムーブメントを通じたプログラムを提供しました。
傾聴から始まる心理サポート
集会所を会場に、全2回のプログラムを実施しました。この活動報告では、私たちの活動の一部をご紹介します。
・様々な道具や運動を活用し、心身の緊張を一時的に解きほぐしてリラックスする時間を取りました。
・ セルフタッチを通じて、自己肯定感や心理的なやすらぎを感じる時間を用意しました。
・ お手玉を交換したり、スカーフをなびかせたりする活動を通じて、隣の人と一緒に動くことで、集団内での連帯感やつながりを体験しました。
・ 「創作活動」を通じて自己表現の機会を提供し、未来への希望やポジティブな感情を表現できるよう支援しました。


被災者の方々が3ヶ月近くにわたる避難所での集団生活を終え、仮設住宅に入居されたタイミングに合わせ、6月25日からは心理サポートも行っています。共同生活で互いに助け合いながら過ごす中でも、打ち明けられなかった心の内はきっとあったはずです。
今回それぞれの仮設住宅に入居したため、心理カウンセリングも1対1の個別訪問形式で行われました。プライバシーが確保された静かな空間で、リラックスして心の内を話せるよう、細心の注意を払って準備しました。
今回の心理サポートは、心理ケア活動家たちのグループである「共感人(コンガミン)」と共に行っています。活動家の方々は、小さいながらもきれいなテーブル、一輪の生花、そして心を込めてお菓子まで用意してくれました。被災者の方々が少しでもリラックスした状態で気持ちを話せるようにと準備してくれました。
お話しの場では、長い間誰にも話せなかった気持ちを打ち明け、涙を流された方もいらっしゃいました。
現場で最も心が痛む瞬間は、被災者の方々から「自分が恥ずかしい」「このような支援を受けるのが申し訳ない」という言葉を聞く時です。彼らは紛れもなく被害者であるにもかかわらず、悪いことをしたかのように感じていらっしゃいます。その気持ちは、突然すべてを失った時に訪れる無力感から来るのかもしれませんし、「他人に頼ってはいけない」という長年の考えから、さらに縮こまってしまうのかもしれません。
今回私たちがおこなった心理サポートが、心からの傾聴を通じて、被災者の方々が自らの心を整理し、再び自分自身を温かく見つめ直すきっかけになることを願っています。
山火事が発生してから4ヶ月が経ちましたが、心の傷はまだ深く残っています。だからこそ、私たちはよく分かっています。災害支援の終わりは、単なる「状況の終了」ではなく、被災者が日常を取り戻すその時まで続くということを。
ピースウィンズは、韓国で起きた山林火災による被災者を救うための支援をおこなっています。みなさまからのご寄付が活動の力となり、被災者の命を救い未来につながります。災害で苦しむ人びとのために、あたたかいご支援をお願いいたします。