子どもたちに支えられる地道なモニタリング
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は現在、リベリアで、簡易住居(シェルター)支援、学校建設、井戸建設など、さまざまな再定住支援を行っています。これらの事業を効果的に進めるためには、地元住民との協議・連携が欠かせないため、PWJでは「コミュニティ・モビライザー」(地域・住民を巻き込む人という意味)を置いて、理解や連携を深めるようにしています。モビライザーは日々村々を訪れて住民や学校関係者と対話し、PWJがやることと住民自身がやるべきことの確認などを行います。
今回は、このモビライザーの1日を追ってみました。
4月末のある日、PWJのモビライザー、アンジェリーンは、PWJが学校と井戸を建設した村を回り、学校関係者に会って、学校と井戸の使用状況を見て回りました。
通常は、学校と学校のPTAが井戸の周りに柵を作り、関係者以外が井戸を使ったり、動物などが井戸の中に入り込んだりしないようにして、衛生を保つようにしています。この柵がきちんとつくられたかを確認するのがモビライザーの役目で、できていない場合には、関係者にその必要性を根気よく説明しながら、柵ができるまで確認作業(モニタリング)を続けます。
PWJ事務所から車で約1時間半移動し、最初に訪れたコラフン郡のソソムラフン小学校には、現在約250人の生徒がいて、昨年PWJが作った校舎と井戸がありますが、ここにはまだ柵ができていません。彼女が学校関係者と話し合いをし、柵の必要性を訴えます。
柵ができていない井戸
(C)PWJ/ Yuko SHIBATA
学校を訪れた時はちょうど給食を配っている途中でした。この小学校では、PWJが国連世界食糧計画(WFP)と協力して給食支援を実施しています。給食をきっかけに、就学率が上がることや、家族が教育への理解を深めることを目指しています。
ソソムラフン小学校の生徒たち
(C)PWJ/Yuko SHIBATA
次に訪れたA.G コミュニティ小学校にはきれいな柵ができ、時間外に学校関係者以外が使用できないように鍵がつけられていました。ここは、問題なし。彼女も一安心です。引き続き、井戸が生徒のために、きちんと管理されるようにお願いして、次の学校に向かいます。
写真左:学校関係者とモビライザーのアンジェリーン
写真右:A.G.コミュニティ小学校の生徒
(C)PWJ/Yuko SHIBATA
最後に訪れたのは、フォヤ郡にあるファンダ小学校。柵はできていますが、すでに壊れかけた部分があり、あまり柵として機能していないため、補修する必要があります。彼女は、柵の必要性を再度確認して、来週までに修復することをお願いしました。
写真右:手前が井戸
写真左:Fanda小学校関係者とモビライザー
(C)PWJ/Yuko SHIBATA
すでに時刻は午後3時。前の日に降った雨のせいか、他の学校へ向かう道が通れず、この日はこれで終わりです。そこから悪路を約2時間かけて事務所に戻ります。
事務所に戻る途中、PWJが今年建設を予定している学校に立ち寄りました。
PWJが建設を予定している学校
現在約200人が通う学校ですが、かろうじて屋根がある3つの教室を使って授業が行われています。リベリアには、まだこうした学校がいくつもあります。この学校建築が始まるころには、再びアンジェリーンの出番となります。こうした学校や村々を訪問するのは、地道な作業ですが、未来を担う子どもたちの笑顔に支えられ、学校や村々を回っています。