【モザンビーク】北部カーボ・デルガド州の紛争被災者の支援を開始しました
カーボ・デルガド州シウレ郡のマニガニェ再定住居住地の様子
モザンビーク共和国最北部のカーボ・デルガド州は、青い海と白い砂浜の海岸が続き、観光地として人気の場所です。また、石炭・天然ガス・ルビーといった天然資源も豊富で、資源の開発が進められています。一方で同州は2017年以降、武装勢力による襲撃が断続的に続いており、70万人を超える人が、住んでいた土地からの避難を余儀なくされています。人々は、家族や友人を頼って南部へ移動し、2022年1月現在も未だ事態解決に至っていません。
武装勢力による襲撃が長期化しているため、モザンビーク政府は避難先に「再定住居住地」を開設し、避難民に土地を供与し始めました。当初、家族や友人の家に居候をしていた人々は、再定住居住地で自分の住居を持つことができるようになりました。
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、2021年11月末よりカーボ・デルガド州シウレ郡にて、紛争地帯から避難してきた人々と避難した人々を受け入れたコミュニティを対象に人道支援を行うため、現地調査を開始しました。
~シウレ郡マニガニェ再定住居住地のイブラヒモさんの話~
マニガニェ再定住居住地のコミュニティリーダーであるイブラヒモ・ジョゼ・サイード(34歳)さんはマコミア郡から約1年半前に避難してきました。
左から、イブラヒモさんの奥さん、PWJ現地スタッフ、イブラヒモさんの娘さん(前)、イブラヒモさん、友人のアリさん
「私は目の前で我が家が焼かれるのを見ました。燃えている家の前で何もできませんでした。
私の住んでいる場所はもう安全ではないので、歩いて南下しました。
様々な郡を通過してきました。
最終的に政府がシウレ郡を指定したので、シウレ郡に来ました。
シウレ郡政府に再定住居住地への移住を希望しましたが、どこの再定住居住地も常にいっぱいと言われ続けました。
私はシウレ郡に知り合いもいないため、家を借りるしかありませんでした。
1年間家を借りて、再定住居住地が空くのを待っていました。
少ない所持金も毎月1,200メティカル(約2,160円)の家賃の支払いであっという間になくなりました。
このままでは、生活できなくなると思っていたときに、ある場所(現在のマニガニェ再定住居住地)で再定住居住地へ移動を待っている人たちが集まっているという話を聞きました。
そこには、自分と同じような境遇の人が多くいました。
徐々に、この地に集まる人が増え、現在は3,000世帯強がこの地域にいます。
この状況から、モザンビーク政府は当地を「マニガニェ再定住居住地」と設定しました。
これまでの経緯を丁寧に説明するイブラヒモさん(右)
マニガニェ再定住居住地として正式に認定されたので、10月に食糧支援を受けることができました。
ただし、マニガニェ再定住居住地には給水施設がありません。
住民はただ土を掘っただけの伝統的な井戸で水を汲んでいますが、井戸の水は十分ではなく、水が溜まるまで何時間と待たなければなりません。
そのため、私たちは再定住居住地の外から来ている人から水を買っています。
もちろん、お金は無いので食糧支援でもらったお米と物々交換しています。
貴重な食糧を失うのは非常に心苦しいですが、水なしでは生活できません。
ただし、私たちが買っている水も結局は別地域の伝統的な井戸の水に過ぎず、決して綺麗な水とは言えません。
マニガニェ再定住地域の伝統的な井戸。写真の女性は前日夜の22時から水が溜まるのを待ち続けているとのこと。
私たちにとっては雨水も貴重な水です。
雨季の集中豪雨で私たちの家屋が被害を受けないかとても心配ですが、それでも雨水が待ち遠しいです。
マニガニェ再定住居住地でビニールを使って雨水を溜めている住民の様子
ここでの生活はとても厳しいです。
政府が元の故郷に戻って良いと言ったら戻りたいです。
でも、私たちの故郷に戻っても、もう、何もありません。」
と、悲しげにイブラヒモさんは語りました。
PWJは現地調査の結果、マニガニェ再定住居住地で手動ポンプ井戸を建設することにしました。
建設する井戸が住民の生活の改善に繋がるよう、活動に精進してまいります。
※本事業は、ジャパン・プラットフォームの助成金と皆様からの寄付によって行われています。継続的な支援を実施するために、皆さまからの温かなご支援・ご協力をお願い申し上げます。
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