【ウクライナ】3万人を助ける医薬品を届けています
ロシア軍の侵攻によって、ウクライナの医療機関では、医薬品が不足する状態が続いています。こうした状況を改善するため、ピースウィンズはウクライナの人道援助団体「100%LIFE」と連携し、ウクライナ保健省およびウクライナ公衆保健センターとの調整で、高い必要性が確認された11州24の病院に、抗生物質や整腸剤、心臓病の薬など、さまざまな種類の医薬品を届けています。
このうち北部チェルニヒウ州の4つの病院(第2市民病院、第3市民病院、州立子ども病院、中央地区病院)を、ピースウィンズのスタッフが訪問しました。チェルニヒウ州はロシアとベラルーシの国境に接しており、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻当初から1ヶ月以上続いた激しい攻撃によって、州内の医療機関や学校、市民の住宅などが大きな被害を受けました。昨年4月5日にロシア軍が撤退した後は、避難していた人々が戻ってきたのに加えて、他の州から逃れてきた人々の受け入れも進んで人口が膨らんでいます。そうした中、今年8月にもロシア軍の市内集中攻撃があり、民間人の死者7人と負傷者144人の被害が報告され、緊急医療を含む医療への需要は高い状態が続いています。
●第2市民病院、第3市民病院
ロシア軍の侵攻直後から激しい爆撃を受けた第2市民病院は、きれいに修復されていました。医療部長のヴァレリー・ヤクーニンさんは、希望通りの医薬品が届いてうれしいと話してくれました。侵攻開始直後に一度だけ、まとまった量の医薬品が政府から提供された後は継続支援がなかったので、今回の医薬品提供は日々の医療サービスに役立つと話してくれました。
ヤクーニンさん
第2市民病院
第3市民病院も激しく破壊されましたが、修復されました。副病院長のナターリア・バブキナさんは、病院が自力で調達できなかった脳梗塞の薬をリクエスト通りに届けてもらえて良かったと話してくれました。「高価で手に入りにくい血栓溶解薬は、脳卒中を起こした人の予後を大幅に改善するので、本当にうれしいです」。
バブキナ病院長(右)
●州立子ども病院
州立子ども病院は子どものための病院ですが、昨年3月3日にすぐそばの高層住宅がロシア軍の空爆を受けて一般市民47人が亡くなり、17人が負傷するという大きな被害が出た時は、年齢に関わりなくすべての患者を受け入れて治療にあたりました。病院長のテティアナ・レベデヴァさんが、この病院が置かれた難しい状況を説明してくれました。
「ここは子ども病院なので、人々が他の地域に逃げ出した去年は、子どもの数が減って病院の医療サービス数も減少しました。今は人々が戻ってきて子どもの患者数は通常レベルに戻りましたが、昨年の実績に基づいて今年の予算が組まれたために、資金不足に悩んでいます。薬が確保できていることはとても重要です。支援のおかげで、子どもたちに必要な治療と栄養を与えることができます」
レベデヴァ病院長
●中央地区病院
昨年の激しい戦闘の最前線から500メートルしか離れていなかった中央地区病院も、ロシア軍の攻撃で激しく破壊されました。麻酔・ICU科長のイホル・コチェンコさんは、提供した医薬品の中でも特に脳卒中の人に使われる血栓溶解薬が役立ったと語ります。
ウクライナの厳しい状況は今も続いています。私たちは人々が必要な医療サービスを受けられるよう、引き続き支援していきます。
*ウクライナにおけるピースウィンズの支援活動は、みなさまからのご寄付やジャパンプラットフォームからの助成金により実施しています。