【バングラディシュ】坂田医師が第34回日本国際保健医療学会学術大会で口演しました
12月7,8日に三重大学で開催された第34回国際保健医療学会に参加したPWJ坂田医師からのレポートです。
一般口演で、『バングラデシュ国コックスバザール県ウキア郡ロヒンギャ難民キャンプにおける診療支援の現状とデータベースによるモニタリングの有用性』という演題で発表してきました。現地では手書きのカルテを使用し、そのデータの蓄積もなかったことから、客観的に診療を評価する術がありませんでした。そこで、データベースを導入することで、疾患、薬剤処方の傾向を把握・分析し、その結果を基に診療の改善を行い、より有効な診療が出来るようになりました。現地提携団体DCHT(ダッカコミュニティホスピタルトラスト)のダッカにある本院でも電子カルテが使用されていないため、トレーニングを含めて、データベース導入後に正確なデータがあがってくるまで、半年程時間を要しました。それでも、現地の駐在員とローカルスタッフの努力もあり、今では政府や国連機関に提出するレポート作成にもデータベースを活用できるようになり、診療所運営にも役立っています。
私たちの事業は日本の助成金と支援者の方からの寄付金で成り立っている為、事業の資金が有効にかつ適正に使用されているかをモニタリングすることは非常に重要です。データベースの結果を基に診療の改善を行う際は、現地の医師の意見を尊重しつつ、それでも改善が必要な点は、バングラデシュ国内また難民キャンプで使用されているガイドライン等を提示して話し合いました。その結果、以前と比較して、薬剤費用の占める割合を約11%抑えることができました。主に削減したものは、胃薬、カルシウム製剤、ビタミン製剤、下痢に対する抗菌薬などの過剰に処方されていた薬剤です。抗菌薬の処方内容の見直しは、薬剤費の削減だけではなく、多剤耐性菌問題にも関連しています。引き続き、診療の質を保ちつつ、継続的に支援ができるよう関わっていきたいと思っています。
余談ですが、学会中の数ある演題の中で、とても興味深かった発表の一つに、奈良女子大学の松岡先生から『バングラデシュ農村における妊娠・出産経験の変容』という発表がありました。農村において近年帝王切開率が急上昇しているということで、Over indicationの可能性を示唆されていました。私がコックスバザール市内の救急病院を訪問した際に聞いた話でも、一日に十例近くの帝王切開がある(病院規模から考えて非常に多い)とのことで、同様のことが都市部でも起きているのではないかと考えています。南米でも同様のことが起きたと、長崎大学院の神谷教授から聞きました。現地の医療事情を知れば知るほど、色々な課題が見えてきます。
今週から今年4回目のバングラデシュ訪問です。また、現地での状況をご報告させていただきます。
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