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私たちの活動

井戸掘削の開始に向けて

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が活動するスーダン南部に、ようやく乾期が訪れました。日差しも日ごとに強くなり、ぬかるんでいた道路も徐々に乾き始め、整備されてきました。人びとや家畜の往来も増え、車が行きかうたびに乾いた道路には砂煙が上がります。雨期には一度雨が降ると、町なかの移動さえままならず、特に井戸堀削のための重機を移動させるのは不可能でした。そのため、乾期の今を逃さずに井戸堀削に向けた準備を進める必要があり、スタッフも自然と気合いが入ります。

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雨期が終わって
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI

PWJの事業地であるジョングレイ州のボー郡一帯は、土壌が粘土質のために、雨期には未舗装の道路はさながら沼地と化していました。

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雨期のぬかるんだ道路にはまる車両
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

PWJが今期建設予定の井戸数は21本。すでに井戸建設候補地の選定を終了し、今は各コミュニティとの覚書締結に向けて、スタッフは二班に分かれてコミュニティを回っています。

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乾季の道路(平らにならされただけで雨期になればまたぬかるみに…
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI

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牛の群れ:この中を車で進みます
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI

南スーダンでは2005年に南北包括和平が合意されて20年以上続いた内戦に終止符が打たれ、治安は徐々に落ち着きつつあります。とはいえ、部族間の衝突などはいまだに頻繁に起こっており、油断ができない状況が続いています。PWJの井戸堀削予定地も例外ではありません。
わたしたちが到着すると珍しがってわらわらと集まってくる子どもたち。コミュニティのチーフと話し合いをしている時も、どこからか小さな腕が伸びてきて、髪の毛を引っ張ったり、腕をちょんと触ってきたりします。大人たちに怒られていったんは少し離れますが、またいつの間にかくっついてきます。

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集まってきた子どもたち:ちょっぴり恥ずかしそう
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI

一見平和そうな感じがしますが、これらのコミュニティも、他の部族からの襲撃におびえ、不安な中での生活が続いています。「昨日よその部族に襲われて、子どもが一人殺された」「ついさっき、よその部族がやってきて、女性の衣服を剥ぎ取っていった」というような、噂ともとれる話がよく聞かれます。コミュニティの男性たちは銃をかついで、警戒に当たっています。
スーダンでも水汲みは女性の仕事とされていますが、こうした状況下で、女性がコミュニティから遠く離れた井戸に水汲みに出かけるのは危険なことです。彼女たちは毎日片道1時間以上かけて水汲みに行きます。近場に井戸ができることは人びとにとって切実な願いなのです。私の使用言語は英語で、彼らは通訳を介さないと、私が何を話しているかわかりません。それでも私が何か言うたびにみんな熱心に聞き入ります。
「われわれにとって、水は命だ。それを得るためにはどんな協力も惜しまない。」と言うチーフ。「こんな炎天下を遠くから来てくれてありがとう。私はわれわれが取り残されているように感じていた。まるで私の実の娘に助けられたような気持ちだ。神のご加護があなたにありますように。」と、何度も何度も手を握り締めてくる初老の女性。水が湧き出るさまを目にしたとき、彼らの表情はどう変わるのでしょう。彼らの笑顔を早く見たいと願いつつ、今日も地道に現場を回っています。

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