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私たちの活動

【パラオ】パラオの中心地コロール島から約600km離れた南西諸島での検診が無事終了しました!

パラオは約340の島があり16の州で構成されています。人口は約18,000人、その半数を超える約10,000人がコロール島に住んでいます。
 
そのコロール島からとても離れた場所に、南西諸島と呼ばれる島々があります。その距離は一番遠い島で約600km…船で1日以上かかります。現地スタッフがいうには、パラオ人でも南西諸島へ行ったことがない人がほとんどだそうです。
 
その南西諸島は、ハトホベイ州・ソンソロール州の2つの州からなっています。今回は日本人、パラオ人、台湾人の3か国の医師と日本人看護師の合同チームで4月20日~4月25日の6日間、この2つの州の3つの有人島(ハトホベイ州トビ島、ソンソロール州プルアナ島・ソンソロール島)を訪問しました。州政府関係者によると、3か国の医師が一度に南西諸島を訪れたのは、少なくとも、パラオ独立後は今回が初めてとのことでした。
 


南西諸島の位置

 
南西諸島へ行くには、パラオで一般的に使われている小さなスピードボートでは困難で、ピースウィンズの船「KENISNG」号くらいの大きな船が必要です。
 


一般的なスピードボート
 

KENSING号

 
現在、パラオで運行している「KENISNG」号サイズの船は、民間のダイビング船もしくは海上警備を目的とする政府の巡視船のみです。
南西諸島とコロール間の移動手段は、州政府がダイビング船を「連絡船」として借上げ、年に4回運航される船のみですが、天候によっては運航が中止されることもあります。島の外から、食糧や生活物資が運ばれてくるのは、この船が島に到着した時だけになります
このようにアクセスが乏しい南西諸島の島々では、医療へのアクセスも非常に困難を極めています。診療所は、それぞれの島にありますが、医療機器が設置されていません。基本的な医薬品は常備されていますが、今回、私たちが島を訪問して内容を確認すると、それらの医薬品は全て、使用期限が過ぎていました。
また、診療所には常駐する医師・看護師がいないことが多く、島の人々がけがや病気をした時には、島に伝わる伝統的な薬(自然に生えている植物など)を使って島民自身で治療にあたります。症状がひどい場合は上記の「連絡船」が島に来るのを待って、コロール島にある国立病院に行く必要があります。最悪の場合、緊急時には州政府に依頼をして、船を出してもらう必要があります。
*2023年4月時点ではソンソロール島には常駐の看護師がいます。
 
このような医療環境にある南西諸島へ、私たちは「KENSING」号に必要な医療機器を積み込み、島の人々の検診を行ってきました。
 


*2023年3月末時点、島民に確認した人数(定期的に人が入れ替わることもあるため事前調査時点での数字を記載)

 


南西諸島トビ島の風景

 
生活習慣病予防を目的とする検診は、島に住む全ての対象者(大人:18歳以上)に対して実施できました。(合計46名)
 


南西諸島での検診の様子_血圧測定

 


南西諸島での検診の様子_血液検査

 


南西諸島での検診の様子_現地医師による診療

 


南西諸島での検診の様子_日本人医師による診療

 
検診を受けた参加者(20代男性)は、「小学校以来検診を受けていなかったため、10数年ぶりの検診だった。今日、自分が糖尿病予備軍だと医師から言われ、驚いた…生活習慣を変えようと思う」と検診後の感想を述べてくれました。
 
私たちは、島の人々が主に食しているのは野菜や魚、ココナッツなど、島で採れる産物であると考えていました。そして、人々の食生活は健康的であると想定していました。しかし検診の結果から、島の人々の糖尿病予備軍率は、食糧や物が豊富にあるコロール島に住む人々のそれよりが高いことが判明しました。(下記まとめ参照)
 


[検診結果:糖尿病・高血圧]
糖尿病と診断された受診者は全体の15%、予備軍は全体の54%
また、受診者の44%が高血圧

 
南西諸島の人々の食糧へのアクセス環境が限られているにもかかわらず、糖尿病予備軍率が高い理由について、現時点ではまだ把握できていないため、今後、さらなる調査が必要です。しかし、今回の検診の結果は今後の啓発活動の方向性を示唆する重要なものとなりました。
 
検診とともに、大人だけでなく島の子どもたちも対象にした生活習慣病予防に関する啓発活動を実施しました。日頃、島の人々が手にするジュースや食べ物に含まれる砂糖や塩の含有量を可視化したパネルを見せると、大人も子供も驚いていました。
 
検診マスコットキャラクターのToktang Kensing(トクタン ケンシン)も子どもたちに大人気!(一部の子どもには怖がられてしまいましたが…)
 


啓発活動の様子

 


子どもたちに人気のマスコットToktang Kensing

 
生活習慣病予防事業の一環であるこの検診をきっかけに、少しでも自身の健康に気を使う人が増えてくれたら嬉しく思います。
 
今回の検診を受けた人からは「南西諸島に住む私たちはパラオ国内ではマイノリティで、正直忘れ去られている存在です。その私たちのためにわざわざ検診をしにきてくれてありがとう」という言葉を頂きました。
 


くつろいでいる島民の様子

 
KENSNIG号を運用することはもちろん簡単なことではなく、時間も費用も掛かり、苦労も多くあります。しかし、今回の検診を通してこういった言葉をいただき、私たち民間NGOがやっていることはパラオの国の人々にとって非常に意義のある事だと改めて実感し、継続することの大切さを認識しました。
 


検診からコロールに戻った時の様子

 
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