【イラク】モスル市の紛争帰還民への支援を継続、2年目へ
ピースウィンズは、国際連合人間居住計画(国連ハビタット)とのパートナーシップを継続し、イラク北部ニネワ県モスル市の紛争帰還民コミュニティ、ラジム・ハディード地区およびアルタナク地区を対象に、「イラク北部帰還民への緊急支援—国内避難民キャンプの閉鎖と気候変動による住宅危機への対応(ジャパン・ビレッジ)」事業の2年目の活動を開始しました。生計手段に乏しく、経済的に困窮している帰還民100名(うち女性40名を含む)に対し、建設セクターやグリーンエコノミー分野で必要とされる技能に関する職業訓練を実施し、就業を支援する計画です。また、当該地域および近隣の帰還民コミュニティを対象に、近年イラクでも深刻化している気候変動の影響と課題・対策についての啓発活動も行います。
モスルは2014年、過激派組織「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の攻撃を受けて占拠され、2017年にイラク政府軍などが奪還するまで、激しい戦闘に晒され続けました。モスルでは100万人以上の国内避難民が発生し、モスルの旧市街は、80%が破壊されました。モスル奪還後から現在まで、徐々に帰還と復興の取り組みが進んでいますが、課題は山積しており、破壊の爪痕もまた街の各地にいまだ色濃く残っています。

昨年3月、ピースウィンズは、事業実施パートナーとして、日本政府が助成する国連ハビタットの「ジャパン・ビレッジ」プログラムに参画しました。このプログラムでは、国連ハビタット、イラクで活動する日本のNGOや日本企業がそれぞれの専門分野で連携し、モスルの帰還民への住宅・生計支援や啓発活動を実施しています。


ピースウィンズは、モスルの帰還民および国内避難民104名に対し、職業訓練を実施して雇用を促進し、また、帰還民コミュニティであるアルアズィーズィヤ村とバーブ・シンジャール集合住宅において、住民1,860名を対象に、気候変動の課題と、人々が行うことができる取り組みについて、啓発キャンペーンを実施してきました。
事業の2年目となる今年6月、ピースウィンズはモスルの労働市場調査を開始しました。帰還民コミュニティへの聞き取りや、地元の建設会社、行政、支援団体、エンジニアなどへのインタビューを実施しています。モスルで復興やインフラ再建のための建設事業が進む中、建設セクターの中でもどの分野の熟練工が不足しているのか、どういった技術を学びたいと希望する人々が多いのかなどを調査・分析し、今年度実施予定の職業訓練のカリキュラムに反映する計画です。


本事業の実施を通じて、帰還民の方々がより良い生活を送り、明るい未来への希望を持てるような支援を目指してまいります。
※本事業は、国連ハビタットからの助成金やみなさまからのご寄付により実施しています。

