【ウクライナ】取り残されたペットを救助
前線付近から動物を救出・保護するウクライナのボランティア団体「セーブ・アニマルズ・ウクライナ」の活動を紹介します。
セーブ・アニマルズ・ウクライナは、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年2月の翌月、活動を開始しました。最初は戦闘の激しいウクライナ東部や南部の地域でペットと共に生活する人の自宅や避難所などにペットフードやワクチンを届けたり、ペットを連れて退避できない人のペットを保護する活動から始め、今では前線付近に遺棄された動物や怪我した動物を保護し、新しい家族とつなぐ譲渡活動まで幅広く行っています。これまでに3,400匹以上の動物を戦闘地域の近くから救出し、95トン以上のペットフードを配布してきました。



最近も、ロシアが領有権を主張するドネツク州内にある空き家から子犬を救出しました。この救出劇を助けてくれたのは、この地域で暮らすスタスさんです。当初、近隣の人が数匹の野良犬に気がつき餌をやっていましたが、しばらくすると成犬は姿を消し、1匹の子犬だけが残されました。遠くで響く爆撃音に怯えた子犬は、家に残されたベッドの下で怯えていました。家の壁は破壊され、庭にも瓦礫が残る厳しい環境で子犬は耐えていました。
セーブ・アニマルズ・ウクライナのボランティアは、スタスさんの案内で子犬をベッドの下から出すと、毛布に包んで安全な場所へと救出しました。その後、この子犬は新しい家族に迎えられ、安全で健やかに暮らしています。

「すっかり家族の一員です」
また、セーブ・アニマルズ・ウクライナでボランティアをするオレグさんは、ある日、団体のSNSで自宅の隣町スラビャンスクから保護されてきた9歳のサモエド犬の写真に目を止め、新しい家族が見つかるまで一時的に預かろうと決めました。
ティモフェイは生まれてからずっとスラビャンスクで家族と暮らしていましたが、2024年夏、一家は戦争を理由に国を去ることを決め、ティモフェイは置いていかれました。オレグさんはティモフェイに会った瞬間、その先ずっと離れることはないと確信したと語ります。
戦争と移動でストレスを受けていたティモフェイは、最初の2週間、食事やおやつを受け付けず、触ることも許してくれませんでした。でも次第に心を開き、時間をかけてオレグさんとの間に強い絆を築きました。
今ではすっかり陽気で活発になったティモフェイは、長い散歩を楽しみ、よく遊び、地元の公園でたくさんの友達も作りました。オレグさんにとっても、ティモフェイはもはや保護犬ではなく、大切な家族の一員です。

こうしたボランティアや地元の人々の協力で、セーブ・アニマルズ・ウクライナは、戦争によって心と体を傷つけた動物たちを救っています。ピースウィンズは、みなさまからのご寄付を、置き去りにされた動物たちを安全な場所に移動させる際の車のガソリン代の提供や、オペレーションに必要な衛星電話の購入費などにあて、この活動を支えています。引き続き、動物たちへの温かいご支援をよろしくお願いします。

