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私たちの活動

【フィリピン台風被害】水や医薬品を支援、避難所でみた助け合いの心

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避難所内の健診に訪れた親子

台風25号による洪水被害が色濃く残る、フィリピンのセブ島。私たちピースウィンズは、前回の報告でお伝えした現地調査を踏まえて、避難所に貯水タンクをお届けしました。加えて、目まぐるしく変化する状況のなかで必要とされているものを見極め、柔軟に支援に取り組んでいます。

避難所の課題に寄り添った水支援

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水支援のため給水タンクを調達

前日までの調査で顕著な水不足を確認していた私たちは、8日、まず貯水タンクを購入して先日訪れた避難所に設置しました。この日のセブ島は朝から激しい雨。水はけの悪い場所にはあっという間に深い水溜まりができていました。

水の支援方法として生活用水を溜められる貯水タンクを選んだのは、時間的な制約で水の支援を受けられない避難者がいると知ったためです。市から派遣された給水車が避難所を回っているものの、一つの避難所にいられる時間は限られています。水を求めて並んでも、列の後ろの方の人まで順番がまわる前に時間切れとなることもありました。

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避難所を巡る給水車

大きな貯水タンクに生活用水を溜めておけば、給水車が来ている時以外も必要な水をそこから得ることができます。水に関しては飲み水の不足も指摘されていましたが、被災後最初の週末に差し掛かるこの日、飲料水や食料に関しては十分な支援が入るだろうといった見立てもありました。

用意した200リットルのタンク2つは、水不足に悩む避難所に設置され、さっそく生活用水を確保する手段として使われ始めました。

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避難所に運びこまれた給水タンク

一方で、周辺の避難所などの状況を確認したところ、水不足は軽減してきた地域が多いことが判明。前日は訪問したすべての場所で水が逼迫しているとの訴えが聞かれましたが、行政や関係者の迅速な取り組みが実を結んでいます。

被災直後の現場では、状況は良い方にも悪い方にも、刻一刻と変わっていきます。私たちは状況の改善を受けて、他の場所への水支援は急がず、給水タンク設置の結果を見極めて今後の展開を決めることにしました。どのように活用されているか、避難所の環境改善に役立っているのかモニタリングを続けるのと併せて、水以外の新たなニーズが生まれていないか探ります。

避難者を支える診療所の挑戦

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避難所の現状について話すジョバンニさん

そんななか、深刻な被害を受けたTalisay市で出会ったのが、地区の代表であるジョバンニさんです。看護師でフィリピン保健省にも勤めていたという彼は、自宅を失った人たちが集まった避難所の運営を担い、寝る間も惜しんで働いていました。

現在は、医者である奥さまの力も借りて、避難者や周辺住民の健康状態をチェックしているとのこと。私たちが訪れた8日には、臨時の診療所として避難所の広場にテーブルと椅子が置かれ、子どもたちを対象とした健診が行われていました。翌日には大人も対象とし、持病を持つ人に薬を提供したいと話すジョバンニさんですが、訪れる見込みの数百人に対して十分な医薬品が確保できていないことが喫緊の課題でした。

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検診を受ける子どもたち

突然日常を奪われる過酷な状況のなか、被災者には体調を崩したり、持病が悪化する人が多くいます。さらに、自宅を失った人びとが今後どこに移り住むのかといった中長期的な生活再建の展望はまだ見えていません。避難生活が長期化するほど、避難者の健康は危険にさらされます。ジョバンニさんは、「いろんなことが差し迫った状況だが、そのなかでも基本的な健康は本当に大切なこと」だと話します。

彼は200人規模の医師で構成されるボランティアグループにも所属しています。ボランティアの医師たちや自治体とも協力しながら、被災者の健康を支える取り組みをこの避難所でスタートし、いずれは他の場所にも広げていきたいという想いを持っていました。

避難所の現状と避難者への医療・保健支援の重要性、さらには彼の熱意を鑑みて、私たちは彼らの活動をサポートすることを決めました。

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避難所に医薬品を支援

私たちはその日のうちにセブ市内の薬局を回って必要な医薬品を調達。翌9日朝、診察開始前の診療所に届けました。避難者や周辺住民の方々が朝から続々と訪れ、医師の診察を受けたあと、支援物資である医薬品を早速受け取られていました。

厳しい現実にも笑顔で立ち向かう

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避難所に集まる人びと

洪水で自宅を失い、これからどうなるのか、先がまったく見通せない――。そんな厳しい状況に置かれている避難者の方々の心中は察するに余りありますが、私たちが避難所を訪れたとき、彼らが暗い顔を見せることはほとんどありません。笑顔で話しかけてくれたり、お礼を口にしてくれたり……。子どもたちも興味津々といった様子で集まってきます。

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身につけている小さなバッグ1つを残してすべてが流されてしまった、と話す女性たちと出会いました。地域の家々がほとんど流されて自宅は跡形もなくなってしまった、と表情を曇らせて話す女性。それでも「助け合いが私たちの希望になった」「神様と、助けてくれた人たちに感謝している」と前を向いています。

ある学生の女性も、家や自身の持ち物をほとんど失い、学校への通学が難しくなりました。学校の理解を得てオンラインで授業に出席しようとしているものの、通信環境の悪さに悩まされています。自身の将来も不安であろう状況のなか、一番の心配事として「まだ幼い姪が、台風被害でショックを受けていること」と話していたのが印象的でした。

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先日の地震発災時と同様、フィリピンの人びとの助け合いの心や明るさには、支援者である私たちも励まされています。しかし、その笑顔の裏に、心身の傷や非情な現実が隠されているのは言うまでもありません。少しでも彼らの支えになるような支援ができるように、寄り添う気持ちを忘れずに活動を続けていきます。

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