救助犬訓練センターに3頭が仲間入り
広島県神石高原町にあるピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の災害救助犬訓練センターに、3頭の犬が加わりました。県の動物愛護センターから一昨年秋に引き取った夢之丞ら4頭とともに、厳しい寒さの中で訓練を続けています。
吠える訓練を行う様子(C)PWJ
ゴールデンレトリーバーのハルクは、昨年10月に仲間入りしました。PWJは、夢之丞ら殺処分の運命にあった捨て犬を救助犬に育て上げようと取り組んでいますが、訓練には時間がかかります。作業犬としての血筋をもつハルクを迎え入れ、夢之丞たちをリードしていくことで、訓練のレベルを底上げすることをねらいとしています。ハルクは現在、生後8カ月ですが、体つきはとてもしっかりしていて、訓練にも強い意欲をもって取り組んでいます。
(左)ハルク
(右)ハルクの訓練 (C)PWJ
今年初めには、福島の原発事故の被災地から2頭が訓練センターにやってきました。名前はベアーとチビ。
どちらも飼い主が避難した際に福島県飯館村に取り残され、東京の民間団体に救出されました。仮設住宅で暮らす飼い主のもとへ戻れなくなり、PWJが救助犬として訓練することにしました。ベアーは好奇心が強く遊び好き。チビはやさしい性格で元気いっぱい。今のところ体調を崩すこともなく、私たち2人のトレーナーにもよくなついてくれています。
(左)好奇心旺盛なベアー
(右)元気いっぱいのチビ (C)PWJ
訓練は、それぞれの犬の性格や得意・不得意に合わせ、反応を敏感に読み取りながら進めます。大阪府内で救助犬を育成している訓練士たちとも協力し、月1回程度の合同トレーニングを通じて互いの技能の向上を図っています。2月中旬には広島県内のスキー場に出向き、雪に埋もれた人を捜索する訓練をしました。また、犬だけでなく私たちも災害現場で的確な対応ができるよう、初歩的なレスキュー技術や応急処置を学ぶことも始めました。
合計7頭の大家族となり、日々の世話や訓練には大きな労力がかかりますが、犬たちが見せてくれる成長が私たちの励みです。夢之丞たちの育成を始めてからすでに1年余りが過ぎ、早く成果を出したいと焦る気持ちもありますが、試行錯誤しながら一歩ずつ確実に階段を上っていきたいと思います。