津波被災者らに安全な水を
インドネシア・スマトラ島北部のアチェ州で地震・津波被災者らの支援を続けているピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、同島西岸のムラボーで1月下旬から、飲み水などとして使われている井戸水などの水質検査を行い、水を煮沸消毒することの大切さを伝えるとともに、やかんや調理用ストーブの配給などを実施しています。
調査のためキャンプを訪れたPWJスタッフの木下ら
(C)Peace Winds Japan
地震発生直後の1月1日にムラボーでの支援を開始したPWJは、20以上の村や避難民キャンプで調査を行い、生活物資配給の配給を続けています。ムラボーの住民が使っている水源が、甚大だった津波の影響を受けていることを懸念したPWJは、訪問先のキャンプなどで、飲み水として使用されている水が本当に安全なものかどうかを調べる水質検査も行っています。
具体的には、キャンプで生活する被災者が飲んでいる水をPWJの事務所に持ち帰り、水質検査キットを使って、安全性を確認します。水から食中毒や下痢の原因となる大腸菌などが検出された場合、担当スタッフが再度キャンプを訪問し、そのままでは飲用に適さないことを被災者に知らせます。同時に簡単な講習を行い、水を煮沸消毒することの重要性や、お湯がぐらぐらいうまで沸騰させること、沸かしたお湯は清潔な容器で保管すること、などを伝えます。また、台所作業をする際には必ず手を洗うことなど、基本的な公衆衛生の知識も教えます。
このような簡単な講習の後、PWJは、薪ストーブよりも早く湯を沸かすことができる調理用ストーブや、やかんの配給を行っています。
写真左:被災者に基礎的な公衆衛生の知識を伝える
写真右:講習の後に配布される調理用ストーブなど
(C)Peace Winds Japan
環境衛生の講習を受けた後の住民は、水以外の衛生環境にも気を配り始めます。以前、PWJが訪れたゴノンクルン村のキャンプでは、キャンプの周囲の排水溝に生ゴミがたまり、悪臭を放っているそばで子どもたちが遊んでいました。しかし、PWJスタッフが被災者と話し合い、その次の日にスコップなどの清掃道具を持ちこんだところ、すぐにみんな総出の排水溝の大掃除が始まりました。1時間で排水溝はすっかりきれいになり、被災者たちも大汗をかきながらも満足そうでした。
PWJでは今後も、被災者の衛生環境にも注意しながら支援を続けていきます。
やかんなどを受け取った被災者たち
(C)Peace Winds Japan
※PWJのスマトラ島沖地震・津波被災者支援は、一般のみなさまからの寄付や、ジャパン・プラットフォームの協力により進められています。