【モロッコ地震】現場で忘れられつつある「支援の鉄則」
モロッコで発生した今回の地震では、地元行政やNGOの支援物資と肩を並べるほど、他都市に住むモロッコ人自らが被災地に届ける物資が集まっています。このような光景は、モロッコ同様にイスラム教国であるインドネシア西ジャワの地震やトルコ・シリア地震でも見られました。大勢の個人が支援物資を車に満載し被災地へ向かう様子を見て、人々の想いと行動力に心から感動する一方、少し不安も残ります。
発災直後の緊急期であれば、物資の足りていない中、個人からの支援はとても喜ばれます。一方で物資はアクセスの容易な道沿いのテントに集中しがちで、内容も水・保存食・毛布・中古の服など偏りが見られます。あらかじめどんな支援が求められているのかニーズ調査をしてから物資を運ぶ、ということが必ずしもできていないため、必要以上に物資が届いてしまったり、被災者のニーズとのギャップが生まれているのが現実です。
「物資がもらえるのは嬉しいんだけど、私たちが欲しいものがリクエストできる状態ではないのよ」山間部に住む一人の女性は教えてくれました。
ピースウィンズの緊急支援では、まず初めに必ず「ニーズ調査」を行います。
それは、こういった支援の偏りを防ぐためです。
「必要な支援を、必要な場所に、必要な分届ける」この至ってシンプルな支援の鉄則は、思った以上に難しいものでもあります。それが守られなくなった途端に、発災から時間が経てば経つほど物資は現地で散乱し、想いが無駄になってしまう可能性があります。災害支援を長年行ってきた団体でも、効率よく現地ニーズを吸い上げるのは簡単なことではありません。必要に応じて現地をよく知る地元団体と連携することにより、ニーズをいち早く察知し、取りこぼされている必要を満たしていくことが求められます。
この数日間、ピースウィンズの支援チームもさまざまな団体組織にアプローチし、今後に必要な支援を検討中です。中長期の目線も忘れず、それぞれに合った支援を届けることができるよう、今後とも応援お願いいたします。
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