【フィリピン・セブ島 地震 緊急支援】届けた支援が笑顔を守る“灯”になることを願って

災害対策本部でヒアリングをしていると、セブ島北部の離島、ジビットニル島(Ginbitgil Island)に物資が不足しているとの情報があり一度、一緒に見に行ってくれないかという相談を受けました。情報を提供してくれたのは、オリバー医師。以前、フィリピンで発生した台風による災害時に医師として現場に入り、日本からやってきたピースウィンズのスタッフと出会ったといいます。そのときの縁が、今回の支援につながりました。
まるで地響きのような地震がトラウマに


セブ島北部のメデリン(Medellin)の港から船に乗っておよそ15分。ジビットニル島には、667世帯が4つの地区に分かれて暮らしていましたが、9月30日に起きたマグニチュード6.9の地震とその後続く余震の恐怖から家のなかで生活することができず、これまで支援してきた集落同様、それぞれ家の前や空き地にテントやタープを張って生活していました。

島内で特に大きな課題となっていたのが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状で苦しむ人びとです。
9月30日以降も日々小さな余震を繰り返しながらマグ二チュード5を超える地震も何度か発生。現地で活動するスタッフによると、「日本の揺れる地震とは感覚が違う」ようで、余震でも「ドンとまるで地響きのような地震」を体感したといいます。
その恐怖が身体や頭から離れず、多くの被災者にとってトラウマになり、特に夜は怖くて眠ることができない人も多いそうです。

島内の電気は、ジェネレーターでまかなわれていましたが、地区によって差があり、特に街灯のない地区では夜になるとほぼ灯りがなくなってしまうという避難場所もあります。暗い夜はより余震の恐怖心をあおることからも、用意していたソーラーライトを各避難エリアにそれぞれ必要な分を配付することになりました。
片言の日本語で「アリガトウ」と声をかけられる

現地で活動するスタッフによると、支援を届けた先々で「アリガトウ」と片言の日本語で声をかけられたといいます。ある避難場所では、テントのなかに灯りがともされたことで子どもたちは夜間でも走り回り、空飛ぶ捜索医療団のスタッフを見つけては追いかけてきて「アリガトー」と笑顔で叫んでくれたこともあったそうです。

空飛ぶ捜索医療団の10月14日の活動報告は、こう結ばれています。
「発災から2週間。住民の暖かさを感じるテント村に驚かされたと同時に、彼らの生きる強さに胸を打たれました。多くの方々からの協力の元で届けられた私たちの支援が、彼ら被災者の再び歩き出す力の一部になれているのなら、こんなに嬉しいことはありません。」(坂本看護師)

カメラを向ければ笑顔で応えてくれたり、子どもたちはバスケットボールやバレーボールで遊んだり、駆け回って遊んでいます。それは被災地では「めずらしい光景」で、スタッフ全員がフィリピンの人たちのたくましさを感じたといいます。
それでも……

地元のメディアによると、余震は年内は続くことが予想され、安全のため、現状の外で暮らす避難生活は長期化することが見込まれています。トラウマで悩まされる人びとも多く、笑顔の裏ではいつ襲ってくるかわからない余震におびえながら日々の生活を送っています。
空飛ぶ捜索医療団が届けた支援が、フィリピンで出会ったすべての被災者の恐怖を少しでもやわらげ、笑顔を守る灯になることを願っています。
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