【スリランカ】広島県神石高原町にスリランカ人研修生が来訪!農業研修に参加しました!
私たちピースウィンズは、2023年8月からJICA草の根技術協力事業の支援を受け、スリランカ東部のトリンコマリー県において、地元資源を活用した循環型農法の普及を通した小規模農家の生計向上支援を行っています。この活動はトリンコマリー県の農業局との共同事業として実施しており、その一環として2025年6月にピースウィンズの本部がある広島県神石高原町で農業局の農業指導員の知識や技術向上を目的とした農業研修を実施しました。その様子をお届けします!

農業研修に参加したのは、日々の活動においてのパフォーマンスや今後のトリンコマリー県の農業発展への貢献の可能性などを考慮して応募者20名の中から選ばれた農業指導員3名と、ピースウィンズのスリランカ人現地スタッフ1名です。彼らに最新の農業技術だけでなく、持続可能な農法を普及させるためには行政レベルの取り組みや若い世代への教育、販売網の確立などが重要であることを理解してもらうために、地元の農業施設や県内外の教育機関、農業に関する行政機関などを訪問して知見を深めることができました。

若い世代への教育の重要性を感じたようです。

スイカの栽培方法について質問しています。
研修生たちが特に熱心に質問していたのは、スリランカではあまり普及していない農業技術でした。日本では当たり前に行われている野菜の剪定は、スリランカでは大学や農業学校でも教えられておらず、農業指導員でも知らなかったと言っていました。実際に多くの農家が剪定を行っていないため、枝や葉が茂りすぎて実に十分な栄養が行き渡らなかったり、害虫がつきやすくなって農薬に頼らざるを得ないという課題があります。本来であれば、こうした問題に対処するために剪定は必要不可欠な技術ですが、スリランカでは多くの農業指導員にも農家にも十分に浸透していないのが現状です。
しかし今回の研修で研修生たちは、家庭菜園規模の農家から有機農業のプロフェッショナルに至るまで、剪定が広く実践されていることを目の当たりにしました。ピースウィンズがスリランカで推奨し指導している剪定技術は、日本では当たり前に実践されている技術で、大変有効であると認められており、高品質な野菜作りに貢献していることを実際に自分たちの目で確認できたのです。これにより剪定の重要性や有効性への理解が一層深まった様子でした。

真剣な表情で取り組んでいました。

とてもきれいで甘くて美味しい実がたくさん付いていると感動していました。
研修生たちの声からは、これまでピースウィンズの活動を通じて有機農業を含む循環型農業普及に取り組んできたものの、スリランカでは首都の一部を除いて有機野菜や減農薬の野菜や果物のマーケットがないために収益を上げられないことが農家のモチベーション低下につながっており、そうした状況の中で技術を広めることに対して自信を失いかけていたようです。しかし、日本で長年にわたり有機農業に取り組む人々や、有機農業を学ぼうとする若い世代の姿に触れ、大きな刺激を受けたようです。研修の最終日には、「美味しくて、安心して食べられる野菜や果物を作り、その良さを消費者にもっと理解してもらえるように取り組んでいきたい」と話していました。

とても甘くおいしく、こんな野菜をスリランカでも作りたい!と話していました。
スリランカに帰ったら、まずは同僚などの他の農業局職員に日本で学んだ知識を共有し、消費者の考え方を変え、農薬に頼らない持続的な農法を普及させるための大きな流れを作るための基礎を築いていきたいと話していた研修生たち。彼らのこれからの取り組みに期待しつつ、彼らの活動を全力でサポートしていきます!

さわやかな笑顔で帰国の途に就きました。
この研修はJICA草の根技術協力事業の支援のもと実施しました。研修生達の故郷であるトリンコマリー県での持続可能な循環型農業の普及活動の内容をさらに充実させるために、皆様からの温かいご支援をお待ちしております。詳細はスリランカ事業のインスタグラムからご確認いただけます。
ぜひご覧ください!→ https://www.instagram.com/pwj_srilanka/