【シリア】シリアで食料支援を実施しました
シリアは今、国連人道問題調整事務所が「13年前に危機が始まって以来、最も高いレベルの人道支援ニーズに直面しており、シリアの人口の半分以上にあたる約1,300万人が深刻な食糧不安の状態にある」と発表するほどの状況にあります。そこで、ピースウィンズは、現地の提携団体と協力して、妊娠中の女性と乳児を持つ母親、また障害のある人がいる世帯に食料バウチャーを配付する事業を実施しました。この食料バウチャーは、決められたスーパーマーケットで食料と引き換えることができ、多くはオリーブオイルやお肉、野菜や果物に引き換えられました。食料支援では、いろいろな食べ物をパッケージにして配付する方法もありますが、食料バウチャーで本当に必要なものを手に入れられる方が便利なので、地元にこのシステムを導入できるスーパーマーケットがあれば、この方法の方が喜ばれます。
また、食料バウチャーの配付に合わせて、妊娠中の女性と乳児を持つ母親を対象に、医師による「乳児の栄養状態を改善するための栄養ワークショップ」を3回に渡って実施しました。ここでは、母親の重要性、母乳の与え方、妊婦や産後の女性が摂取すべき食物等について、写真や絵を使いながらわかりやすく伝えられました。そして、ワークショップの後には、妊婦および産後の女性が食べるとよいとされている豆類、栄養価の高いなつめやし、オリーブオイルをセットにした食料パッケージを参加者に配付しました。
さらに、この事業では、障害のある人たちに接することが多くなるので、提携団体のスタッフは、事前に「障害平等研修(Disability Equality Training : DET研修)」を受けました。DET研修は、障害のある当事者がファシリテーターとなることが特徴で、多様性が尊重されるより包括的な社会を作っていくために必要な視点や考え方について、グループワーク等を通じてじっくりと学びます。スタッフが受講したこの研修でも講師ができる資格を取得している全盲の男女2人がファシリテーターを務め、受講者からは、ファシリテーターの二人が社会で様々な差別や困難に直面した中で培われた提言が非常に参考になったという声が聞かれました。
この事業では、1,307世帯が食料バウチャーを受け取りました。ピースウィンズは今後も、シリアの人々の必要に応えるよう支援を続けてまいります。
この事業は、皆様からのご寄付とジャパン・プラットフォームによる助成金にて実施されました。