コーヒー生産者支援事業、多くのサブグループが野菜栽培で成功
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が、東ティモールのエルメラ県レテフォホ郡で行っているコーヒー生産者支援事業では2006年、もう1つの大きな「収穫」がありました。前年までモデル農場内だけで行ってきた試験的な野菜栽培に、コーヒー生産者組合の多くのサブグループが取り組み、野菜を販売して副収入を得るグループも出てきたのです。
野菜栽培は、レテフォホのコーヒー生産者の栄養状態の改善と生活向上をめざして、野菜の多品種化と自給を進めるため、2003年から行っている試みです。現地では生産される野菜が少ないため、住民たちはコーヒーで得た収入を、食料品の購入にあてなかればならず、その食料も多くはインドネシアからの輸入に頼っているのです。
(C)PWJ/JunNAKAJIMA
第1フェーズの3年間(2003~2005年)では、「モデル農場」を開設し、日本から営農指導員の古賀田都子さんを迎えて、PWJ東ティモールの現地スタッフへの技術指導と試験的な野菜栽培を行ってきました。モデル農場での成果をみたコーヒー生産者たちも野菜栽培に関心を持ち始め、PWJとコーヒー生産者たちの信頼関係も強まってきた2006年、野菜栽培がようやく「モデル農場」から飛び出す準備が整いました。
事業が第2フェーズに入り、モデル農場からサブグループへの普及の一歩となる2006年、その大切な年に東ティモールは騒乱に見舞われ、普及活動への影響も心配されました。しかし、結果的には18グループの内、13グループが野菜栽培に挑戦しました。農業普及員アマリ氏が、各グループを巡回しながら、きめの細かい指導を行い、多くのグループが野菜栽培に成功しました。さらには、その内の8グループが自分たちで作った野菜を販売して現金収入を得ました。もっとも多くの収入を得たレブドゥ・クライクのグループは、総額で92米ドル(約1万1000円)もの収入を上げることができました。
(C)PWJ/JunNAKAJIMA
レテフォホでは例年10月に雨が降り始め、11月以降本格的に雨期に突入しますが、2006年は12月になってようやく雨期が来ました。レテフォホの雨は、東南アジア一般に見られるようなスコールではなく、降るときは一日中降り続けることから、雨期に野菜栽培は不向きです。そのため、この時期には、レテフォホの人びとはとうもろこしやキャッサバを植えています。生産者組合のサブグループも、PWJが支援したとうもろこしの種を植えました。とうもろこしの収穫が終了し、雨期が終わりに近づく4月頃から、次の野菜栽培が始まります。2007年は、「モデル農場→サブグループ」の普及から、「サブグループ→各世帯」への普及を図ります。