【トルコ】大地震被災者向けのコンテナキャンプで暮らす子どもたちと一緒にサッカーの試合をパブリックビューイングで楽しみました
2023年2月に発生した巨大地震から1年半以上が経過しましたが、トルコ南部の被災地では今も44万人以上の人びとがコンテナの仮設住宅での生活を送っています。ピースウィンズはハタイ県イスケンデルン市にある被災者コンテナキャンプで、提携団体であるソリダリティ・リスペクト＆プロテクト（SRP）とともに、精神保健・心理社会的支援（MHPSS: Mental Health ＆ Psychosocial Support）を行ってきました。その一環として、保護者も一緒に国民的人気のスポーツであるサッカーの試合をみんなで見るイベントを開催しました。
MHPSS活動では、これまでにおよそ3,300人以上の子どもと1,100人以上の保護者がプログラムに参加してくれました。子ども向けのプログラムでは、子どもに優しい環境を整えた場所で、絵を描いたり体を動かしたりして、地震で味わった恐怖や不安を和らげ、心の傷を癒す活動を行ってきました。
保護者に対する研修では、専門家が子どもの権利やジェンダーに基づく暴力、児童労働などのテーマについて話し、家庭やコミュニティとして子どもを保護する能力を高める活動を行ってきました。同時に、保護者同士が避難生活の中で抱える悩みや心配事などを話し合うことで、研修会は保護者自身の気分を和らげる場としても機能しています。
ただ、キャンプで暮らす男性の多くは日中仕事をしており、MHPSS研修をあまり受けることができていません。男性保護者がMHPSS研修に参加することは、参加者自身がMHPSSについての知識を得るだけでなく、男性が必要性を理解することで女性や子どもたちのMHPSS活動参加が促される利点があります。
そこで、提携団体スタッフの提案により、8月21日にコンテナキャンプ内でサッカーのパブリックビューイングを実施しました。サッカーはトルコではとても人気の高いスポーツなので、このスポーツの力を借りて本事業への男性参加を促進するのが狙いです。同時に、コンテナでの避難生活を送る人たちにパブリックビューイングという特別な場を楽しんでもらい、気分転換してもらうことも目的でした。
イベントは、男性が参加しやすい夜10時キックオフの試合を選びましたが、約1時間前ほどから事前配布したチケットを手にした子どもたちが集まり始め、試合開始時には大人も子どもも含めて約70人以上の住民が参加しました。
試合は合計5点の得点が入る白熱した展開となり、参加者たちは友人らと談笑しながら応援し、とてもリラックスして試合を楽しんでいました。
ハーフタイムにはスタッフが保護者にパンフレットを配って、MHPSSの活動紹介と、普段の研修で取り扱っている子どもの権利や児童労働、家庭内でのコミュニケーション方法などのトピックについての説明を行いました。
男性の多くは初めての参加で、「子どもの権利などの言葉は聞いたことがあったけど、なぜ大事なのか理解していなかった。でも、説明を聞いて今日その必要性を少し理解することができました」、「仕事が忙しいけれど、できる限り時間を見つけて次回の研修に参加したい」といった研修の内容にかかわるもののほか、「仕事の疲れを忘れて試合を楽しむことができました」といった声も聞かれました。「これまで、子ども向けの映画鑑賞などのイベントはあったけれど、自分たちにもこういうイベントをやってほしかった。大人の男性向けのイベントを考えてくれたことがとても嬉しい」という声もありました。
提携団体のスタッフは、「すべての参加者が今後の活動に参加することは難しいかもしれませんが、この中の何人かだけでも興味を持ってくれたら、イベントをやった価値があると思います」と話していました。
夏季の日中の最高気温は40度近くまで上がるハタイですが、ちょうどこのイベントの日あたりを境に朝晩雨が降ったり、風が吹くようになり、少しずつですが季節の移ろいが感じられるようになってきました。短い秋の後には寒い冬がやってきて、十分な暖かさを確保しにくいコンテナキャンプでの暮らしはまた厳しくなります。
大地震の被災者の暮らしを少しでも楽にできるよう、現地でのニーズに応える活動を続けていきます。
この事業は、みなさまからのご寄付やジャパンプラットフォームからの助成金により実施しています。ひき続き、ご支援よろしくお願いします。
＼平和をつくるために、2分でできること／
