【ウクライナ】ズヴィアヘル市で「ビジネス・トレーニング」を始めました
ロシア軍による侵攻が始まってから3年9ヵ月になるウクライナでは、多くの人が大切な人や家、仕事などを失い、厳しい生活が続いています。こうした状況でも人々が尊厳を持って生活が送れるよう、ピースウィンズはさまざまな支援活動を行っています。ジトーミル州ズヴィアヘル市(首都キーウから西に約220キロ)では、地元NGOであるエレオス・ウクライナと連携して「ファミリーハブ」活動を行っています。この活動では、戦争の影響を受けた女性や子ども、近隣で暮らす国内避難民や地元住民に対して無料で法的、社会的、心理的支援を提供しています。その一環として「ビジネス・トレーニング」を始めました。

トレーニングは、起業を目指す人を対象にしたものと、すでに事業を行っている人を対象にしたものの2コースに分かれています。前者では、起業のアイディアを見つけるためのガイダンスや、事業計画の立て方、資金の集め方など起業に必要な基礎的知識を身につけます。後者では、事業拡大のためのツールや、効果的なチーム運営、資金管理、新たな市場開拓の方法などを学びます。
どちらもトレーニングの目的は、戦争の被害を受けた人々が失われた尊厳と立ち上がる力を取り戻し、自身と家族のために持続可能なビジネスを行っていけるようにすることです。5ヶ月のトレーニングでは、実用的なビジネス知識を習得するための講義のほか、参加者同士で行うグループセッションや個別指導が行われます。なお、トレーニングに先立ち、ファミリーハブのスタッフが参加者に個別に内容を説明しますが、その際に心理ケアが必要と判断した場合には、心理士がサポートできる体制を整えています。トレーニングを受けるのは、前線から逃れてきた女性、軍人の家族など、経済的安定のために新たな一歩を踏み出そうとする人たちです。



参加者のひとり、テティアナさんはこう語ります。彼女はロシア軍に占領されたウクライナ東部から逃れてきました。「参加したのは、私にビジネスが本当に向いているかどうか知りたかったからです。いつか故郷に戻れたら、小さなカフェを開きたいのです。パンやお菓子を焼くのが大好きなので」。


別の参加者、レシアさんは言います。「私ははっきりした目標を持ってここにきました。それは夫とともに築き上げてきたビジネスをより発展させることです。経営は主に夫が担当していました。その夫は前線で戦っています。今度は私が経営者としての責務を引き継いで、会社を成長させたいのです」。
私たちは、傷ついた人々が自分の能力を再び信じて行動できるようになる姿を目にしてきました。このプログラムが目指すのは、人々が尊厳ある暮らしを取り戻すことであり、痛みや辛さを超えた先にある人生を送れるようにすることです。
ピースウィンズはこうした活動を通じて、引き続きウクライナの人々を支援していきます。みなさまのご支援をよろしくお願いします。

*この事業は、外務省のNGO連携無償資金協力や皆様からのご支援で実施しています。

