バルーンシェルター活用の災害時協定締結:新日石と川崎市
阪神・淡路大震災から12年を迎えた1月17日、神奈川県川崎市の新日本石油「ENEOSとどろきグラウンド」で、同社と川崎市が、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)などが開発した緊急支援用大型テント「バルーンシェルター」の活用などを盛り込んだ災害時の協定の調印式を行いました。
バルーンシェルター内に記者会見場が設営された(C)PWJ/KenMATSUDA
バルーンシェルターは、大手繊維メーカーの帝人の素材や製品と、PWJの海外での経験をもとに、両者が共同開発し、アフガニスタンやインドで配給所などとして活用したほか、2004年の新潟県中越地震では避難所として活用しました。収納・輸送時は約1メートル立方の大きさになり、内部に空気を送り込むことにより、設営開始から40分ほどで使用可能な状態になり、2基1セットに約100人が避難することができます。空気で維持する構造のため倒壊のおそれがないという特徴もあります。
自治体とも協働して、災害時の被災者支援を積極的に進めることを検討していた同社は2006年10月、2基1セットのバルーンシェルターをPWJから購入。協定の締結に向けて、同社と同市の間で協議を重ねていました。
写真左:調印を終えた西尾進路・新日石社長(右)と阿部・川崎市長
写真右:バルーンに入れられた社名ロゴの前で握手する両者(C)PWJ/MasaharuSAITO
この日、調印された協定は、「新日石の所有するバルーンシェルターを災害時等に使用することに関する協定書」と、「新日石の所有するグラウンド等を災害時における一時避難場所等として使用することに関する協定書」で、災害時等の同社施設の使用、バルーンシェルターの無償提供、設営での協力、訓練などを盛り込んでいます。
バルーンシェルター内で行われた調印式で挨拶に立った阿部孝夫市長は、災害時に備えるため、民間企業が具体的な施設や資材を提供するという今回の同社の決定を高く評価しました。調印式には報道関係者も多数駆けつけ、調印の後、PWJ国内災害担当の松田憲がバルーンシェルターの機能などについて詳しく説明しました。
報道関係者にバルーンの説明をするPWJ松田(C)PWJ/MasaharuSAITO
PWJでは、静岡県袋井市、東京都葛飾区(バルーンシェルター1セット配備)、同世田谷区と災害時の支援協定を締結しているほか、ジャスコやショッピングセンターを展開するイオングループに13セット余りのバルーンシェルターを販売しています。イオンの地域会社やショッピングセンターの間でも地元の自治体との間で災害時の支援協定を結ぶ動きが広がっています。企業と自治体との間で災害時を念頭に置いた協力体制があらかじめ整備されることは、実際の災害発生時に被災者に対するケアを充実させるために極めて有効なものと考え、PWJとしても今後も積極的な働きかけを進めていきます。