【シリア】森林火災被災者支援の実施
世界各地で気候変動によるとされる干ばつや山火事の発生が起きています。シリアでも、2020年10月8日から12日にかけて、高温と乾燥が原因とみられる大規模な森林火災が発生し、約28,000世帯が被害を受けました。家屋への延焼だけでなく、電気や水の供給網の遮断などにより、約25,000人が避難を余儀なくされ(UNOCHA)、果樹園や農耕地の消失により、収入手段を失った人も少なくありません。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は現地提携団体と協力し、特に支援が行き届いていない地域の被災世帯を対象に、食糧と衛生用品の配布支援を行いました。
この事業では、まず現地のコミュニティおよび被災者グループの代表者とミーティングを持ち、支援の目的や内容を説明しました。実際の配布方法などについては、彼らから意見を聞き、人々が安全に物資を取りに来やすい場所で配布することを決めました。
配布する食糧キットには、米、ブルグル(ひきわり小麦)、レンズ豆やひよこ豆、紅茶や砂糖など地域の食文化に欠かせない食料品のほか、ツナ缶やサーディン缶、ミート缶など保存の効くものが入っています。衛生用品キットには、石鹸やトイレットペーパー、生理用品のほか、感染症予防の手指用の消毒液も入れました。少しでも現地の経済に貢献するため、これらの物資はシリア国内の地元業者から調達しました。
食糧キットの中身
衛生用品キットの中身
物資を輸送する際には、ランダムに箱を選び、中身があっているかを確認します
当日、配布場所の入り口では、物資を取りに来た人々の体温のチェックと手指の消毒の感染予防策をとり、受付で身分証明書の提示などによる本人確認を行います。
その後、引換券を受け取って指定の場所にて物資を受け取ります。自分で物資を運ぶことが難しい人には、提携団体スタッフが運ぶのを手伝いました。
この支援では、一か月分の食糧キットと衛生用品キットの配布を2回行うことにしていました。しかし、2回目の配布終了後のモニタリングで、被災世帯の人々はなお、自分たちで食料品を買える状態になく、次に決まっている支援まで期間があいてしまうことがわかったため、提携団体と相談して、お米や缶詰類など一部食料品の数を増やした3回目の食糧キットの配布を決めました。配布後、支援を届けた人たちからは、被災後の生活に必要な物を手に入れられて助かったという声や、受け取った衛生用品で衛生的な生活を送れているという声が聞かれました。
今年も降雨量の不足によって農作物の収穫量は少なく、国連はすでにシリアに住む人々の60%にあたる1,240万人が食糧不足に陥っていると報告しています(UNOCHA, WFP)。PWJは、人々の生活状況の改善に少しでも寄与できるよう、支援を続けてまいります。
※この事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成を受け、実施しました。
※シリアの現地情勢を考慮し、関係者に危険や不利益が及ばないよう、活動地域の詳細は伏せ、写真の一部を加工し使用しています。