アチェ避難民収入向上事業で貸付金の返済続く
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)がアチェ避難民の女性を対象に進めている収入向上事業で、女性グループからの貸付金の返済が続いています。女性たちは、事業を始めるための原資の貸し付けを受けて、せんべい作りや山羊の飼育などを実施。事業が順調に進んでいるため、返済が可能になりました。来年1月下旬までには、すべてのグループが返済を完了できる見込みです。
アチェ特別州(スマトラ島北部)の独立を巡る闘争の激化により、かつて政府の移民政策により中部ジャワ州のボヨラリ県から西アチェ県に移住したジャワ系の住民たちも、ジャワ人への迫害を恐れて故郷ボヨラリ県に避難してきました。PWJは2003年4月から、現地NGO「ビナ・スワダヤ(Bina Swadaya)」ボヨラリ支部と共同で、避難民を対象にした再定住支援事業を行っています。
写真左:テンペ(大豆食材)を作る
写真右:ローン原資で購入され、すくすくと育つヤギ
PWJなどは、支援対象世帯の女性が副収入を得ることによって家庭収入が向上・安定し、避難民が少しでも早く普通の生活に戻ることを目標に、2003年4月に基礎的な家計管理や菓子製造、手工芸品作成の研修を実施。2004年4月から、女性が小規模なビジネスを起業するための原資の貸し付け(ローン)を開始しました。対象は35世帯、3グループ。各グループは受け取ったローンを1人あたり90万~100万ルピア(約1万1000~1万2000円)分配。女性たちはそれぞれ、調理用のコンロや製菓用器具、材料などを購入し、せんべいやテンペ(大豆食材)の製作、ヤギの飼育などを始めました。その後、女性たちは定期的に現地NGOを交えて集まり、不安定な天候や材料費の高騰などの直面している問題について話し合い、試行錯誤しながらも事業を続けてきました。
3グループのうち1グループは今年5月から返済を開始。残る2グループは6月から利子部分の返済を行っています。女性たちは今後、飼育したヤギを売る予定で、その売却金の一部をローンの返済にあてることで、来年1月下旬までに完済できる見通しです。