屋根付き中庭設置の仮設校舎で新学期
イスラム暦の正月休みが続いていたイランでも、4月から新学期が始まりました。被災地バムでは、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が設置した、中庭と屋根を配置して工夫を加えた仮設校舎に、児童・生徒の3カ月ぶりの声がこだましました。
被災地バムでは、2003年暮れに発生したイラン南東部地震により多くの学校もまた倒壊しました。PWJはイラン教育省とも協議し、「コネックス」と呼ばれるコンテナ型の資機材を使い、1月24日から仮設校舎を順次、設置しています。
写真左:コネックスをコの字型に配置し、中央に
屋根を架けて設置した仮設校舎
写真右:屋根の下で日差しを避けながら、授業を待つ子どもたち
(C)Peace Winds Japan
被災地では、PWJ以外にも仮設校舎の設置を進める団体もありますが、各校の児童・生徒の数に対して、仮設校舎の規模が小さいことが、仮設校舎の課題の一つとなっていました。そのため、PWJでは、5基あるいは7基のコネックスを「コ」の字型に配置し、中央部にできたスペースの上に屋根を架けることで、学校の「敷地面積」を拡大することにしました。PWJエンジニア部門の発案によるこの方法だと、予算や工期をそれほど大きくすることなく、学校の規模を拡大することができます。多くの学校を早期に再建・再開することが急務となっている被災地では、予算と工期をできるだけ抑えることも重要です。
新学期が始まった4月3日、PWJスタッフがコネックスを提供した各校を回ると、震災以降、休校していた学校にも多くの児童・生徒が登校して来ました。生徒たちは、屋根の下で強い日差しを避けながら、授業開始を待っていました。40度を超える気温のなかでも、乾燥しているため、屋根の下は快適な様子です。
写真左:授業開始前のコネックス教室で
写真右:席について授業に備えます
(C)Peace Winds Japan
午前中に男子、午後には女子が授業を受ける、ナブラット小学校の校長先生は、3カ月ぶりの子どもたちの登校の様子を喜びながら、「屋根の下のスペースは、試験のとき、机や椅子を並べて会場にしたい」と話していました。また、屋根の下に先生用の机といすを並べ、"職員室"のような場所をつくっている学校もありました。
ある生徒は「調査だけして、実際に支援をしてくれない団体もあるけど、PWJは約束以上の施設をつくってくれた」と話してくれました。
なお、PWJの仮設校舎設置は、一般のみなさまからのご寄付のほか、ジャパン・プラットフォーム、テレビ朝日福祉文化事業団、JHP学校をつくる会の協力も得て進めています。