「ぜひ一度使ってみて!」とトイレ研修会
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が支援活動を行っているジョングレイ州は、村では決まった「トイレの場所」がないことも多く、PWJが整備したトイレが、その村で唯一のトイレとなることも少なくありません。このたびPWJが小学校の近くにトイレを建設した、ボー郊外のマクワッチ(Makuwach)のコミュニティもそのひとつです。新学期を前にした4月3日、周辺に住む児童や、先生、PTA関係者を対象に、毎日の生活で衛生面で気をつけることや、新たにできたトイレを使う時に注意することなどを紹介する、トイレ・ワークショップ(研修会)を行いました。
これまでのワークショップでは、外部の保健衛生の専門家を、隣の州都のジュバから招いてきましたが、今回は、研修のノウハウを身に付けたPWJのプログラム・オフィサーが、初めて進行役(ファシリテーター)を務めました。参加者は27名、その大半は男の子たちです。女の子は家の手伝いがあるのか、途中からやってきた2人だけでした。
冒頭の日本人スタッフの話を現地のディンカの言葉に訳し終わると、その後は彼の独壇場です。彼の話の内容は残念ながら理解できないのですが…、彼がトイレの穴に男性が用を足すしぐさをして、「周りに飛ばさないように、穴の真ん中に狙いを定めて…」(筆者の想像です)と説明すると、参加者の間には笑いが広がり、ほのぼのとした雰囲気でワークショップは進められました。
ワークショップの様子
(C)Peace Winds Japan
絵を多用した資料を使いながら、彼が尋ねた限りでは、マクワッチの人びとはいまだに用を足す場所も定めず、その辺でしゃがんで用を足す「衛生レベルの第1段階」にあるようです。そうして、村の片隅で用を足す彼らの習慣が衛生面でどのような悪影響をおよぼすか、参加者の意見も求めながら、巧みに注意を促していきます。
一連の説明を締めくくり、最後に、トイレ内での洗浄用の水差しやバケツ、手洗い用に蛇口を取り付けた貯水容器などの備品一式と、トイレの扉を施錠する南京錠の鍵を学校の責任者に引き渡してワークショップは終了しました。
最後に日本人エンジニアが参加者に伝えたメッセージは、「今日からこのトイレはあなたがたのものです。最初は慣れないかもしれませんが、ぜひ使ってみてください」でした。学校に通う子どもたちが、トイレを喜んで使ってくれたら、それを聞いた家族の人たちや、コミュニティの人たちも、今日学んだことを生かして、じゃあトイレの場所を決めるところから始めようか、と考え方が変わるきっかけになるかも...と願いながら、マクワッチを後にしました。
完成したトイレ
(C)Peace Winds Japan