【モザンビーク】緊急支援 ─終わりの見えない紛争と平和を願う避難民─
引き続き、ピースウィンズ・ジャパン(以下、ピースウィンズ)はカーボ・デルガド州シウレ郡で発生した武装勢力の攻撃によって避難してきた人々に対して支援を行っています。
→参照:
2/19【モザンビーク】北部カーボ・デルガド州シウレ郡で再び武装勢力による攻撃
2/20【モザンビーク】避難民を安全な場所へ移送しました
2/26【モザンビーク】避難民へ食糧を届けました
2017年より州北部で断続的に続いてきた武装勢力による攻撃は、2020年の大規模攻撃で州全域に多数の国内避難民を発生させ、今も事態は収拾できていません。知られざる国内紛争です。
さらに2024年に入り、武装勢力が再び南下してきたことで、ピースウィンズが活動しているシウレ郡で新たに約1万人の避難民が発生しました。2月20日には避難民が居住する「再定住居住地」近くでも被害が発生し、そこで生活していた人々にとっては、避難先から避難先へと、2度目の避難となりました。シウレ郡には「再定住居住地」が9か所あり、今年になって避難してきた人たちはこのうちの4か所で避難生活を送っています。
ピースウィンズは、2月にそのうちの1か所に避難してきたダニエルさんから話を聞きました。
「私の名前はダニエル、7人の子どもの父親です。私はシウレ郡マゼゼ地区のマガイア村というところに住んでいました。隣のインキラ村に武装勢力が入ってきたと聞いたときは、私たちの村でも警戒心が一気に増しました。
私は、妻と子どもたちと一緒にすぐに他の村へ避難することにしました。その瞬間、私は恐怖心に支配され、水や食料を持っていくことなど頭の片隅にもありませんでした。
次の日の朝、私たちは食べるものが何も無かったので、私はマガイア村の自宅に食料を取りに戻ることにしました。どうにか家に辿り着き、食料といくつかの食器を持ち出しました。
同じマガイア村の3人の男性と一緒に、家族が避難している村へ戻っている途中、6人の武装勢力の兵士と鉢合わせてしまいました。私たちは彼らに捕らえられ、兵士たちは、私たちの宗教や、村にいくつのモスクと教会があるか、学校や病院の数を聞いてきました。
それから数分後、他の住民が通りかかり、6人の武装勢力の兵士のうち4人がその住民を捕えに行き、残りの2人もそれに気を取られました。
その間、私は自宅から持ち出した食料全てその場に残し、なんとか逃げることができました。その後、家族と合流しトランジットセンター(一時避難所)まで辿り着くことができました」。
2023年9月からピースウィンズの農業プロモーターとして働いているサタールさんは、2度の避難経験を持つ避難民です。武装勢力の攻撃について次のように語っています。
「再び武装勢力が近くに来たと聞いたとき、心臓が止まるかと思いました。思考が停止して動けませんでした。まさかここまで武装勢力が来るとは思わず、本当に衝撃でした。
私たち家族はとにかくこの場を離れなければならないと思い、約20km先にあるシウレ・セーデ(シウレ郡の中心部)まで歩きました。
妊婦や障害者、小さな子どもたちが避難するため助けを求めているのですが、皆、パニックに陥り、助けられる人はいませんでした。本当に心苦しいです。
避難してきて約1週間後、状況が落ち着いたので、私たちは元居た再定住居住地に戻りました」。
サタールさんは、モザンビークで続く紛争を、ご自身の願いを込めて次のように語りました。
「終わらないこの紛争。
たくさんの罪のない人々が亡くなっています。
家屋や教会も燃やされていて、とても悲しいです。
紛争のトラウマ、苦悩、恐怖がない世界で生きたいです。
銃声が聞こえない空間で勉強できる環境を子どもには残してあげたいです」。
ピースウィンズは、紛争の影響を受けた人々が再び平和に希望を持てることを目指して、引き続き支援を届けて参ります。
※本活動は、皆さまからの寄付によって行われています。迅速な支援を実施するために、温かなご支援・ご協力をお願い申し上げます。