【モザンビーク洪水】孤立した村で、支援先の避難所で…胸に残る被災者の笑顔

アフリカ南部で1月にかけて発生した大規模な洪水災害で、モザンビークでは南部・中部地域を中心に、70万人以上が被災しました。毎年のように水害に悩まされているモザンビークですが、今年の洪水は例年とは違いサイクロンではなく断続的な豪雨によるもので、被害が長期化し広範囲に及んでいます。ただでさえ災害の頻発が生活再建を妨げてきたなかで、新たな脅威が人びとの生活をより苦しめています。
私たちピースウィンズは、モザンビークの被災地に支援チームを派遣しています。現在、中部ソファラ州で被害の実態を調査しながら、被災者に寄り添った支援を模索しています。
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自然災害や紛争に苦しむモザンビークの人びとを支援する(Yahoo!ネット募金)
マラリアの脅威に怯える避難所に衛生キットを届ける

私たちは2月4日、支援物資の配付のため、前回のレポートでご紹介した一時避難所、シリモネ再定住地域を再び訪れました。先日の訪問時には、水や食料不足への不安のほか、マラリア感染の拡大などが課題として挙がっていました。ニーズ調査の結果を反映して物資を準備し、この日、160世帯を対象に衛生キットを配付しました。
衛生キットにはバケツ、消毒薬、蚊帳、石鹸が含まれます。消毒薬はバケツの水に入れて撹拌することで、水を飲料水として使えるようにするためのもの。正しい使用方法などを説明したうえで、ボランティアやコミュニティリーダーの力も借りながら、ひとまとめにした物資を1世帯ずつ配付しました。


物資を受け取った被災者からは「井戸はあるが飲み水を貯めるバケツがなかったのでとても助かる」「マラリアが心配だったので蚊帳があって安心」などの声が聞かれました。
孤立集落で出会った人びとの強さと明るさ

現地での活動開始以降、さまざまな被災地を訪問するなかで、特に印象に残った場所があります。ソファラ州の南部に位置するマシャンガ郡にある、ムタンバーニャと呼ばれる地域です。
この地域は洪水による道路の寸断などで孤立。たどり着くには長時間のボート移動が必要になるため、被災から1ヵ月以上何の調査も支援も入っていない場所でした。私たちは、これまでアクセスの悪さから現地入りできなかったという政府関係者を伴って、ムタンバーニャに向かうことを決めました。

道中でモーターボートのエンジンが停止したため、ムタンバーニャに戻るというカニ漁のカヌーに乗せてもらうなど2度の船の乗り換えを経て、宿舎出発からおよそ10時間後に目的地に到着。村の人びとが集まって出迎えてくれました。
1,500人あまりが暮らすこの村では、洪水で一帯が水没しました。家や井戸、水浴び場、トイレ、ゴミ捨て場など村の施設がことごとく被害を受け、生活に大きな影響が出ています。
また、畑と作物もほぼ全滅。米やとうもろこし、キャッサバなどを栽培しているこの地域では、本来今の時期に1年分の主食を生産・貯蔵するそうですが、 備蓄米などの貯蔵分を含めすべてが洪水で失われ、食料不足が深刻な問題になっています。
しかしこうした厳しい状況のなかにもかかわらず、ヒアリングや案内に応じてくれた村人たちはみな明るく陽気で、前向きさを失ってはいません。

洪水で流された備蓄米が発芽しているのを見て、これでまた米が食べられるかな?と冗談を言って笑い合う姿や、被災後に掘ったという浅井戸の濁った水を「こうやって水をすくって飲むんだよ!」と明るくデモンストレーションしてくれた学校の校長先生。家が倒壊したというご家族は、「ここまで作ったよ」と新しい家を誇らしげに見せてくれました。
調査を終えて帰途につく私たちに、村の人々は「また来てね」と口々に声をかけながら、船が見えなくなるまで見送ってくれました。

2014年に起きた洪水の際、この村は政府から忘れられ、支援を受けられなかった経験があるそうです。現地を訪れたピースウィンズスタッフの菊池は、総出の出迎えや見送りは「自分たちは忘れられていなかった」という思いからだったのではないか、と感じたといいます。「アクセスの厳しさに一度は現地入りを躊躇しましたが、本当に行ってよかった」としみじみ語っていました。
同行した政府関係者は、「ピースウィンズがここに来てくれたおかげで、一緒に訪問することができた。起きている状況を必ず中央政府に伝え、支援につなげる」と話しています。行政の支援が行き渡るように、NPOならではの視点や強みで働きかけることも、私たちの重要な役割です。
私たちピースウィンズは、引き続きモザンビークで被災者支援に取り組みます。皆さまのあたたかいご寄付をどうぞよろしくお願いいたします。

