【中国チベット自治区地震】「安全な水を子どもたちへ」― 浄水器支援が届けた希望
2025年1月7日、チベット自治区で発生したマグニチュード6.8の地震は、標高4,000mを超える高地の村々に深刻な被害をもたらしました。寒冷地特有の気候と交通の困難さにより、被災後も生活再建は遅れ、多くの子どもたちが安全な飲料水を確保できない状況が続いていました。
ピースウィンズ・ジャパンは、提携団体の公羊会と連携し、被災地の学校や幼稚園に対して浄水器70台を寄贈しました。定日県内の地域(崗嘎鎮、協格爾鎮、措果郷、奔吉郷、曲当郷、曲洛郷、扎西宗郷、昌索郷)にある幼稚園から中学校まで計37校が対象となりました。

支援は2025年4月、ピースウィンズのスタッフと公羊会が現地に入り実施。水の確保が困難な山間部の学校に、清潔な飲み水を提供するための支援を行いました。特に遠隔地の幼稚園では「初めて浄水器を見た」という声も多く、安全な飲料水が日常生活の中に根付くきっかけとなりました。
「子どもたちの体調が良くなりました」
寄贈を受けた定日県第三幼稚園からは、手書きの感謝状が届きました。
同園では浄水器導入後、「おなかを壊してよくトイレに行く」「よく風邪をひく」といった症状が明らかに減ったといいます。「以前は水のにおいや不快感があった」と言いますが、現在は安全で美味しい水が飲めるようになり、体調も良くなりました。

「浄水器を使い始めてから、園児たちの最初の感想は『とても便利!』でした。お湯や冷水をすぐに飲むことができ、季節を問わず安心して過ごせています。給水の手間も減り、先生たちも助かっています。」
西蔵定日県第三幼稚園 感謝文より(2025年10月31日)

この声からも、寄贈された浄水器が単なる設備支援に留まらず、日常の安心と教育環境の質の向上に直結していることがわかります。
困難の中でも続く協力と学び
今回の活動は、実施地域はアクセス・行政調整の両面で難易度の高い「チベット自治区」でした。現地の地理的・政治的特性から、活動には多くの制約が伴いましたが、公羊会の支援と現地教育局の理解により、時間をかけながらも必要な支援を届けることができました。
公羊会代表は報告書の中でこう述べています。
「私たちはピースウィンズの協力のもと、地域の教育機関に安全な水を届けることができました。浄水器を受け取った学校からは『日本の人々の思いやりに感謝します。中日両国の友情が世代を超えて続きますように』という言葉をいただきました。」

被災地の今、そしてこれから
1月の発災から時間が経った今も、現地ではいまだ生活再建と教育環境の改善が続いています。ピースウィンズが4月に現地を訪れた際、被災地では仮設住宅の整備や水資源の確保が最大の課題として挙げられていました(※参考:【中国チベット自治区地震】発災から4ヶ月が過ぎた今、現場では何が必要とされているのか)。
今回の浄水器寄贈は、その課題に対する実践的かつ持続可能な支援として、学校や地域社会に確かな効果をもたらしています。単に「支援を届ける」だけでなく、「現場の声から学び、本当に必要な支援を届ける」のはピースウィンズの信念でもあります。
ご支援への感謝
本プロジェクトの実現にあたり、皆さまから寄せられた温かいご支援に心より御礼申し上げます。
皆さまのご支援と、現地の子どもたちの「ありがとう」という声が、これからの活動を続ける私たちの力となっています。

