【ハイチ】災害国ハイチの地方農村部の女性の更なる活躍を目指して
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)では、2020年6月、日本国際協力財団(https://jicfnpo.wixsite.com/jicf)の助成金によって、ハイチ南西部にある南県のサンジャン・ドゥ・スードコミューン(自治体)のモワンドルという地域にて、女性の生計グループAFEDEM(アフェダム)の活躍支援及び地域経済の活性化を目的としたカシューナッツの加工・販売復興プロジェクトを開始しました。
この地域は都市部から離れた遠隔地にあり、住民の生活は決して豊かなものではありません。住民の多くは自給自足の生活をし、ほとんどの家屋には電気はなく、生活用水を確保するために徒歩で数時間かかる井戸まで一日に何往復もしなくてはならない環境で暮らしています。2016年に発生した大型ハリケーン・マシューでは、多くの住民の家屋が破壊され、主産業である農業も大きな損害を受けました。
赤いカシューアップルと黒い殻のついたカシューナッツ
殻を取る様子
殻を取った生のカシューナッツ
南県の主要産業は農業で、バナナやパイナップル、ピーナッツやカシューナッツなどが生産されています。AFEDEM(アフェダム)も主にカシューナッツを加工し、ローストナッツやタブレット(カシューナッツに黒糖をからめた甘いお菓子)を生産していましたが、本事業では加工品の品質向上と安定した生産を行うことができるように、備品や施設設備の提供を行い(2020年6、7月)、8月初旬にはカシューナッツ加工専門家による加工技術・品質管理に関する研修を実施しました。さらに2021年2月からは、カシューアップルという赤い果実部分を使ったワインを生産し始める予定です。
加工技術・品質管理研修の様子
研修ではカシューナッツの脱穀や乾燥方法、加工場の衛生管理などを座学と実践を交えて習得しました。研修を受けたメンバーからは、「カシューを上手に加工する方法がよく理解できた」、「衛生管理の大切さを実感できた」など事業を通じた知識・技術の両面の向上を喜ぶ声が届いています。
天日干ししたカシューナッツを一つひとつ選別中
AFEDEM特製のローストカシューナッツ
子どものおやつに人気のタブレット(カシューナッツに黒糖をからめた甘いお菓子)
2020年10月中旬には、UNWomenとハイチ女性権利省、南県農業局が国際女性農村デーを記念して開催した「ハイチの経済発展における地方農村部の女性の役割とその重要性に関するイベント」の地方産品の展示会にAFEDEMも出店しました。
この展覧会に参加したメンバーからは「私たちのブースを訪れた人たちからは、製品のパッケージもきれいで、カシューナッツもとてもおいしかった!という言葉が聞けて嬉しかった」、「加工研修を受ける前は、このような展示会には参加できませんでしたが、今後はこれをきっかけに地元だけではなく、ハイチ全国、さらに世界に私たちのカシューを紹介していきたいです!」など今後の意気込みも語ってくれました。
特製のローストカシューナッツを販売するAFEDEMスタッフとPWJ現地職員(水色のTシャツ)
2020年12月10日には当団体が外務省の日本NGO連携無償資金協力の助成金を元に建設した南県デュペロン地域のコミュニティセンターの完成式に参加し、参加者の前で自分たちの経験を発表し、製品の販売会も行いました。(完成式に関する記事はこちら)
完成式においてあいさつをする様子
製品の販売会
ハイチでも新型コロナウイルス感染が増えており、ハイチ政府は2020年10月末まで10人以上の集会が禁止されていたため、少人数での研修に切り替え、また作業場には消毒液の常備や手洗いなど感染防止対策も徹底して作業を行っています。
今後とも、温かなご支援をよろしくお願いいたします。