【バングラデシュ】地域みんなで支える仕組みを目指して
―― コミュニティ・リーダーとの対話の場を開催しました ――
バングラデシュ南東部、ミャンマー避難民の難民キャンプとその周辺のホストコミュニティ(キャンプがつくられる前から居住していたバングラデシュ人のコミュニティ)では、ミャンマー避難民の長引く避難生活の中で、妊産婦や高齢者、障害ある方々が、日々さまざまな困難に直面しています。ピースウィンズは、そうした脆弱な立場にある人々が、必要な健康情報を得て、必要な医療や支援にたどり着けるよう、地域に根差した取り組みを続けています。
その柱のひとつが、住民自身の手による支援体制づくりです。
現在、ピースウィンズはミャンマー避難民やホストコミュニティから選ばれた「コミュニティボランティア(CV)」を育成し、対象地域の家庭を一軒一軒訪問して、妊娠中の注意点や感染症予防、生活習慣病の予防といった健康知識を伝えたり、困っている人々への相談窓口となったりする活動を行っています。

地域の声を聴く「コミュニティ・リーダー協力会議」
こうした取り組みを地域全体に広げ、継続的な支援の仕組みへとつなげていくため、ピースウィンズはこの4月下旬から5月にかけて、キャンプ周辺の7地域で「コミュニティ・リーダー協力会議(Community Cooperation Meeting)」を開催しました。
この会議には、地域のブロックリーダー、宗教指導者、教師、地域で信頼されている世話役の方々が参加してくださいました。CVの活動内容を紹介したほか、実際に現場でどのようなニーズがあるのか、どのように地域として関われるかを話し合いました。

上がってきた地域の声
会議では、次のような切実な声や提案が寄せられました:
・「妊婦が病院に行きたくても、夜間の移動手段がなくて困っている。CVが搬送をサポートできる仕組みがあるといい」
・「高齢の方や障害のある方が誰にも相談できず、家の中で孤立している」
・「妊婦の危険サインを家族が知らないことが多い。夫や姑などにも情報が届く仕組みが必要だ」
・「診療所まで遠く、特に雨季はアクセスが難しい。交通支援が必要だ」
こうした声を受けて、今後は地域と連携しながら以下のような仕組みづくりを進めていきます。
これから地域で支えるために
今回の会議は、ピースウィンズにとっても、活動をより良くするための大きなヒントとなりました。
今後は、地域の声を反映し、次のような取り組みを進めていく予定です:
・CVと地域リーダーが連携して、緊急時の搬送サポート体制を整備
・妊娠・出産、感染症、高齢者ケアなどに関する啓発活動を地域全体に広げる
・障害者や高齢者が孤立しないよう、家庭訪問と見守り活動を強化
・地域住民やリーダーと一緒に、「地域で支えるための行動指針(ガイドライン)」を作成

ピースウィンズは、これからも「誰ひとり取り残さない」地域づくりをめざし、住民の皆さん、そしてコミュニティ・リーダーの皆さんと力を合わせて活動していきます。
※ピースウィンズの活動は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や個人・法人の皆さまによるご寄付により、実施しています。