耐震普及事業の成果をテキストブックに ~イランでの支援活動を終了~
イラン南東部地震被災地のバムなどで、ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ)が2005年5月から2006年1月の間、実施した耐震技術普及の取り組みをまとめた「耐震技術テキストブック」(英語・ペルシャ語併記)がこのほど完成しました。住民や技術者を対象に行ってきたセミナーやトレーニングのポイントを1冊にまとめました。この事業の完了により、PWJが地震発生直後から続けてきたイラン支援活動は終了しました。
バムなどが地震に襲われたのは、2003年12月26日。PWJは、発生翌日に日本からスタッフを現地に派遣し、テントの調達やテント村の設営、水・毛布・衛生用品の配布など、緊急人道支援を行いました。仮設校舎の設置などを進めた後、被害を大きくした要因である建物の構造の弱さに着目。地震に強いバムを再建するため、耐震技術の普及を図る取り組みを続けてきました。
テキストブックは、耐震教育セミナーや耐震技術トレーニングに参加した住民・技術者が、学んだことを忘れず、知識や技術を今後、効果的に発揮していくことを目的に作成しました。A5版?、50ページのテキストには、これまでのセミナー、トレーニングで取り上げたテーマのうち、「地震のメカニズム」や「地震による建物の倒壊原因」、そして「耐震技術の基本」を主に盛り込みました。読者が理解しやすいように、写真や図解を多く使い、わかりやすい説明を心がけました。
約1500部を製作。1月末に、セミナーなどに参加したバムの住民グループ、技術者グループを中心に配布しました。また、住宅の再建や耐震技術指導にかかわりのあるバム地域や隣接のケルマン地域、首都テヘランの住宅財団や教育省にも配布しました。
テキストを受け取ったバムの住民グループの代表は「PWJの住民向け耐震セミナーで学んだことは、本当にすばらしかった。このテキストを使って復習することができるので、とてもうれしい。これまでに学んだことを応用し、バムを地震に強い地域にしていきたい」と、感謝と抱負を、いきいきとした表情で話しました。
現地に駐在していたスタッフも2月9日までに帰国し、同日をもって、2年余り継続したPWJのイランでの活動は終了いたしました。地震発生以来、多くのみなさまから、多大なご支援をいただき、住民のニーズに合った多岐にわたる活動を続けることができました。この場を借りまして、深く御礼申し上げます。