【モロッコ】被災女子生徒たちとの温かい交流
ピースウィンズは、2023年9月に発生したモロッコ地震の被災者への支援の一環として、現地のNGO団体「プロジェクト・ソア」と提携して、被災した女子生徒の月経衛生管理の改善に取り組んでいます。2024年4月末までに、2,500人以上の被災女子生徒に月経衛生管理ワークショップと月経衛生管理キットを提供しました。私たちは、事業のモニタリングのために、モロッコを再び訪問しました。
今回の訪問中、私たちはプロジェクト・ソアと一緒に、月経衛生管理キットの配付をしたり、既にワークショップに参加してキットを受け取った女子生徒を対象として事業の効果を把握するためにフォーカスグループ・ディスカッションを行いました。(ワークショップを行った時の様子)
*フォーカスグループディスカッションとは、月経衛生管理ワークショップやキットに対して、キットを受け取った女子学生2500人の中から少人数の対象者を集めて行うディスカッションのこと
この活動は、プロジェクト・ソアのスタッフで、当該事業を担当しているケンザさんの主導で行われました。フォーカスグループ・ディスカッションでは、ワークショップが参加者した女子生徒の月経管理にどのように役に立っているか、また、配付した再生利用可能なナプキンを使ってみた感想などを中心に話し合いました。ケンザさんが、ディスカッションを始める前に参加者の緊張を解きほぐすための簡単な運動を取り入れたり、一人一人の目を見ながら笑顔で話しかけたりしたことで、最初は恥ずかし気な様子であった女子生徒が、ディスカッションが進むにつれて、徐々に発言していく様子がとても印象的でした。現地は月経のことを話すことがためらわれがちな文化であるにも関わらず、ケンザさんが話しやすい雰囲気作りを心がけていたおかげで、ディスカッションがスムーズかつ始終和やかな雰囲気で実施されました。
フォーカスディスカッションで被災女子生徒からでてきた下着やナプキンに対する意見やアイデアは、下着メーカーにフィードバックされ、製品の改良が行われていく予定です。またワークショップの内容や進め方に対してもさらにわかりやすく改善されていくでしょう。
ケンザさんは、今回の事業を通じて、月経や女性の成長について被災女子生徒たちと対話を行ってきました。現地の社会文化的背景に加え、被災女子生徒の多くは、親元から離れ、地震による大規模な被害を免れたマラケシュなどの近隣都市の寮で退避生活を余儀なくされており、月経に対して気軽に相談できずにいます。退避生活を始めた後に初潮を迎えた生徒もいるかもしれません。被災女子生徒たちにとって、ケンザさんをはじめとするプロジェクト・ソアのスタッフは、時には姉として、時には友人として、思春期のからだの変化や月経のことを相談できる相手となれるよう生徒たちと関わってきました。
発災から9か月、被災した女子生徒たちが家族のもとに帰れるのはまだ先になりそうです。ピースウィンズと提携団体であるプロジェクト・ソアは被災した女子生徒の未来が強く明るいものであるよう、今後も支援を行っていきます。