【シリア】アサド政権崩壊後も危機的状況が続くシリアで食料を配付しました
長年続いていたアサド政権が2024年12月8日に崩壊し、2025年5月末までに約44万人のシリア人が周辺国から帰還するとともに、約120万人がシリア国内の避難先から故郷に戻りました。しかし、14年間にわたるシリア国内での人道危機や経済危機の影響で、帰還した後も食料を確保することは容易ではありません。また、シリア国内で避難生活を続けている人も未だ多くいます。この状況を受けて、ピースウィンズは食料支援を実施しました。
国内避難民、帰還民、障害者、大家族、高齢者、収入のない女性、深刻な慢性疾患を持つ人を対象に、米、穀類、豆類、魚缶、油、砂糖、塩、トマトペーストを配付しました。



対象者のうち、高齢者や女性、障害者など、食料を運ぶのが困難な人に対しては、スタッフが手伝い、確実に受け取れるように配慮しました。







食料を受け取った人びとの声を紹介します:
一人目は、夫がタクシーの運転手のため収入が不安定な中、10人の子どもを育てる母親です。
「一番下の息子に栄養失調の症状が出始めたものの、十分な食料も医療ケアも与えることができずに困っていました。今回、食料を受け取ったことで、家族に栄養価の高い食事を与えることができ、今まで食料を買うことに使わざるを得なかった現金の一部を息子の栄養失調や自分の高血圧の治療に使うことができました。夫もタクシーの燃料をいつもより少し多く購入し、客を長距離乗せることができたことで、収入も少し増えました。食料を受け取ったことによって、喫緊の食料不足が和らいだだけでなく、苦労を重ねている私たち家族にとって新たな希望を与えてくれました」
二人目は、8年前に夫を亡くし、一人で七人の子どもを育ててきた女性です。息子の一人は障害があり、お世話が必要です。困難な生活の中、我慢強い彼女はこれまで外部に支援を求めたことがなく、今回、初めて食料を受け取りました。彼女は満面の笑顔を見せて、次のように話してくれました。
「まさに必要な時に必要なものが届きました。ずっと何も受け取っていなかったので、本当に嬉しいです。いただいた全てのものが役に立っています。ありがとうございます。そして、今後も必要としている人びとを支援し続けてください」
彼女たちにとって、今回受け取ったものは食料以上のもの、希望、慈愛、そして尊厳の象徴だったようです。
ピースウィンズは今後も、シリアの人びとに対して必要な支援を続けていきます。
※ピースウィンズの活動は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や個人・法人の皆さまによるご寄付により、実施しています。