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【ウガンダ】難民居住地区の女性支援センター~事業終了後の活躍~

ピースウィンズ・ジャパン(以下、ピースウィンズ)は、2021年3月末日から2024年3月までの3年間を通して、ウガンダ北部のインヴェピ難民居住地区および西部のチャカII難民居住地区において、女性の保護と精神的自立を促進することを目的に掲げ、福祉相談窓口の利用や女性たちが経済的・社会的自立を支える能力を身に着けるための裁縫、美容・理容、石鹸製作トレーニングを受講できる拠点となる女性支援センターを建設しました。そして、事業期間後もこのセンターが有効に活用され、現地の人びとの手で、センターにて女性の保護・精神的自立を支える活動が継続されるように、その土台と体制作りに取り組みました。特に、実際にセンターでトレーニングを受けた難民居住地区に住む難民と難民を受け入れる地域のコミュニティ(以下、ホストコミュニティ)の女性たちのなかから、センター運営委員会となるメンバーを選び、事業期間を通してセンター運営委員会が中心となってセンターの運営に取り組む体制を整えました。
この過程で、センター運営委員会に対し、公的な団体として登録することを推奨したところ、両難民居住地区のセンター運営委員会ともに、コミュニティに根差した団体として公的に団体登録をすることができました。現在もその体制のもと、センターではそれぞれのセンター運営委員会が掲げたビジョン―女性の保護と精神的自立の促進―のもと、活動が続けられています。
ここでは、事業終了後、女性支援センターで活動する女性たちの活躍を紹介します。
 

~インヴェピ難民居住地区(ウガンダ北部)~
コミュニティの人びとに啓発活動を行う女性支援センターの女性たち(インヴェピ難民居住地区)

 
インヴェピ難民居住地区の女性支援センターは、特にジェンダーに基づく暴力(Gender based Violence、以下GBV)をはじめとするコミュニティ啓発活動を現在も活発に取り組んでいます。GBVに関するトレーニングへの参加や女性支援センターへ相談に訪れる女性の悩みに耳を傾け、悩み事の内容に応じて適切な支援団体を紹介するといった、事業での経験を活かし、活躍の場を広げています。公的に登録された団体としての立場を活用し、他の支援団体のパートナーとして、GBVだけでなく、10代など若年層の妊娠に関する啓発活動や、コミュニティイベントなども実施しました。現在は、新たな事業連携の機会を獲得するために、難民居住地区内の関係者会議に参加したり、関係者と意見交換の場を設けたりと積極的に動き、自らコミュニティの人びとのために啓発活動を継続しています。
 

インヴェピ難民居住地区のセンター運営委員会のメンバー

 
登録した「Imvepi Women Shine Network」という団体名には、すべての女性が輝き、力強く生きられる明るい未来を創る懸け橋になりたい、という願いが込められています。「別の女性支援センターとの交流を通して、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の重要性を認識した」と話すセンター運営委員会のメンバー。その学びから「女性たちが性や身体のことを自分で決め、守ることができ、GBVに苦しまずによりよく生きることができるようなコミュニティづくりに貢献したい。」と力強く抱負を掲げていました。
 

~チャカII難民居住地区~

 
チャカII難民居住地区の女性支援センターは、活発なトレーニングの実施が大きな強みです。センター運営委員会の女性たちは、ピースウィンズの事業が終了する前から計画と準備を進め、難民やホストコミュニティの人たちを対象に裁縫、美容・理容、石鹸製作トレーニングを継続して実施しています。「ピースウィンズの事業で習得した技術を生かして、他の難民やホストコミュニティの女性たちの社会経済的、そして精神的な自立を支えたい」と、ピースウィンズが実施したトレーニングの修了生が講師となり行う技術指導では、他支援団体からもトレーニングの受講生を受け入れたこともあります。すでに1期生がトレーニングを修了し、現在は2期生のトレーニングを進めているところです。トレーニングの現場では、「学ぶことが楽しい!」という受講生たちと、彼女たちの情熱に応えたいというセンター運営委員会の女性たち両方の真剣な思い、そして笑顔があふれています。
 

縫製トレーニングでデザインした服を自ら着てお披露目する受講生たち(チャカⅡ難民居住地区)

 
チャカII難民居住地区の女性たちの団体名は、「Union for Women Development Bukere」、スワヒリ語で「平和」と「仕事」を意味する「Amani Kazi」をビジョンに掲げています。センターが女性たちの自立を促進し、家庭内やコミュニティに暴力のない平和な環境づくりに貢献するには、女性だけでなく、男性の自立促進やGBVなどへの理解も大切です。そのため、センター運営委員会は男性に対してもトレーニングやセンター利用の門を開き、センターが女性も男性も含めたコミュニティ全体の拠りどころとなるように取り組んでいます。
 

チャカII難民居住地区のセンター運営委員会メンバー

 

~これから~

 
順調に見える女性支援センターの運営であっても、課題は多く、センター運営委員会の女性たちは日々試行錯誤を続けています。その一つが、センターのメンテナンスや警備のための費用などを捻出しながら活動を続けることです。このため、センターのホールの貸し出しや製作物の販売など、収入活動にも取り組んでいます。また、トレーニングの実施においても、材料費や機材のメンテナンス費用、講師への謝金など、資金の工面が必要があるため、受講料を徴収することにしました。結果として、受講料を工面して技術を習得したいという目的意識の高い受講生たちが参加し、技術習得の伸びが大きい、といった良い効果が見れました。現在は、さらにトレーニングの効果を高めるため、国の機関からの技術認証試験を受けられる環境を整えようと、準備を進めています。
 
笑顔が絶えないセンター運営委員会の女性たち。そんな彼女たちの中にも、母国の南スーダンやコンゴ民主共和国から逃れてきて大変な思いを抱えていたり、「現地のホストコミュニティの人たちと話すのが怖い」と感じていたりし、ピースウィンズの事業に参加する前には自分を表現したりコミュニケーションを取ることを苦手に感じていたというメンバーも少なくありません。ピースウィンズの女性支援センターでの活動に参加する中で、「初めて難民(あるいはホストコミュニティ)の女性の友達ができた」「より積極的に自分の意見を言えるようになった」という女性もいます。「次は、自分たちが他の女性たちを支える番だ」と、それぞれのセンター運営委員会のメンバーは、難民とホストコミュニティの垣根を越えて手を取り合い、自分たちで考えて試行錯誤しながらコミュニティを支えています。
 
「現地の人びとの手で、女性の保護・精神的自立を支える活動を継続していく土台を作りたい」。
ピースウィンズが目指している支え合いの連鎖が、確かに根付こうとしています。
 
本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力による助成、ならびにみなさまからの温かいご支援により実施することができました。今後ともウガンダでの事業へのお力添えのほど、よろしくお願いいたします。

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