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私たちの活動

【ウクライナ危機】ドイツへ避難 足りない座席

ウクライナから、モルドバに避難してきた人々は、少しでも心休まる場所を求め、48時間の旅路へ。

「これが我々の運行できる最後のバスだ。全員は乗せられない。本当にすまない。」

モルドバでの活動を取材してきたカメラマンより、今日も最前線の様子をお届けします。



10月12日、早朝にもかかわらず避難所の人々が慌ただしく荷物をパッキングしていました。
やってきたのは2台の大型バス。行き先はドイツ。ここモルドバから丸2日の長い陸路移動が始まろうとしていたのです。



ウクライナからモルドバへ逃れる避難民の多くは、モルドバを経由し第三国へと避難拠点を移します。言葉の壁や祖国から遠く離れることへの抵抗、様々な懸念はありますが、それでもなお安定した生活を求めドイツなどの先進国へ避難を試みるウクライナの人々は、開戦直後から今に至るまで大勢います。



バスを運行しているのは、ピースウィンズが支援する避難所が提携を結ぶドイツの人道支援団体です。半年以上にわたり、ウクライナ避難民をドイツへと届けてきたが、ついに彼らの援助資金も底をついてしまいました。
「現状、これが我々の運行できる最後のバスだ。次のバスをいつ運行できる資金目処はたっていない」そう話すのは団体の現場責任者ハーマンさん。
「しかし、それでもこのバスに全ての人を乗せられる座席はない。心苦しいが、子どものいる家族を優先し、各家庭の状況を見極めて乗せる人は選別せざるを得ない」
複雑な心境を語るハーマンさんにいつもの陽気さはなく、どこか苦しそうな表情でした。



大勢の避難民が国境を超え様々な国へ移動している状況下で、もちろん善意で避難に手を差し伸べる大勢の人々がいる一方、退避支援を装って人々を連れ去り、人身売買に繋げる事件が起きていることも避難民の耳に届いています。
戦火を逃れウクライナを脱出できた先に待っているのは、危険の伴う長く不安な旅路。
モルドバからドイツの目的地までは休憩や国境通過もあり48時間はかかります。
バスに乗れた人たち、そして残された人々も、少しでも安心して終戦の時を迎えることができるようにと、想い同じくハーマンさんと私は遠ざかるバスのクラクションを聞いていました。



ピースウィンズ・ジャパンは、今後もウクライナの人々、そして彼らを支え続けるモルドバの人々に寄り添う支援を届けてまいります。引き続き皆様からのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

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