【スリランカ】現地研修員が広島県神石高原町の中学校を訪問
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、26年に及んだ内戦を経て復興を遂げつつあるスリランカ国トリンコマレ県にて、農業・酪農業の組合活動を通じた生計向上事業に取り組んでいます。2015年11月、スリランカの農業研修員6名が、PWJの拠点がある広島県神石高原町の神石高原中学校を訪問しました。
神石高原中学校は、生徒たちが海外から訪れる人びとと触れ合うことで、より国際的な視野を持ち、将来は積極的な国際交流や社会貢献を担う大人へ育つことを期待し、今回の訪問受け入れを決めました。一方、スリランカの研修員は、日本の教育現場のなかでも過疎化が危ぶまれる地域における教育への真摯な取り組みを知ることで、母国スリランカの未来の担い手となる人材育成のあり方を学ぼうと考え、中学校を訪れました。
授業を見学するスリランカの研修員
学年や科目ごとの授業見学のため、スリランカからの研修員が寶田鉄也校長先生に率いられて教室内に入ると、生徒たちは皆表情を輝かせ、「こんにちは!」と元気な声で挨拶してくれました。教室では生徒たちと研修員との対話の時間が設けられ、生徒たちは日本語と英語を駆使して「スリランカはどこにあるのですか?」「スリランカの首都は?」「どんな言葉を話しているのですか?」などの質問をし、研修員が答えました。
研修員が、スリランカの公用語であるシンハラ語とタミル語で「こんにちは」(それぞれ「アーユボワン」と「ワナッカム」)と黒板に書くと、生徒たちは「すごい!」「(スリランカで使われている文字を)初めて見た!」「同じ国の中で、全く違う言葉が使われているんだ!」と興味津々の様子でした。
シンハラ語とタミル語であいさつなどを紹介する研修員
一方、スリランカの研修員は、生徒ひとりひとりにかける先生方の情熱と教育の質の高さに大変感銘を受けた様子でした。日本の地域社会から学ぶ農業研修員としてだけでなく、同じ年頃の子どもを持つ親としても感じ入るところが大きかったようです。生徒たちの宿舎建物や設備も目を見張りながら見学し、イノシシやタヌキが学校のグラウンドや菜園を荒らさないように柵を設置しているのを見て、「私たちの故郷でもゾウが田畑や家屋に踏み入らないようにロープを張り、人と野生動物が共存しています。神石高原中学校は豊かな自然のなかで学び、自由な発想を育むことができる素晴らしい教育環境ですね」と共感していました。
神石高原町をはじめとする地方自治体が多様な人びとを受け入れ、互いに学び、支え合う地域社会づくりについて発信していくことができるよう、PWJはこれからも各方面と信頼に基づいた協力関係を培い、連携を深めてゆきたいと考えています。
※本事業は、自治体国際化協会「自治体国際協力促進事業(モデル事業)」による資金や寄付金などにより実施されました。