アクレ郡小学校改築事業が終了しました。
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、2010年3月から第1期と第2期に分けて、イラク北部アクレ郡で子どもたちが安心して勉強に専念できる環境を整えるために、小学校計7校の修復や増築、改築を実施し、2011年5月末に終了しました。
2010年9月下旬から開始した第2期では、3校にて修復や増築を、また2校にて校舎の新規建設を行いました。屋根の倒壊や雨漏り、トイレなど水回りの問題が解決しただけではなく、教室数が増えたことで、2011年9月の新学期からは、ほとんどの支援対象校で交代制や2学年合同授業がなくなる予定です。また、クルド自治政府が施行している初等教育と中等教育の一貫教育9年生の学校体制を小学校の建物で実施することが可能になり、7年生から9年生の生徒が生まれ育った村で教育を受ける可能性が高くなります。特に村の女子生徒の場合、7年生以上の学校が村にない場所では、教育を受けられるのは6年生までとなってしまうため、女子生徒の中等教育への進学率が上がることも期待されます。
修復前の学校(C)PWJ/Mayako USHIDA
修復後の学校(C)PWJ/Mayako USHIDA
現地視察をした際、コミニティー・リーダーからは、「学校が新しくなったことを村全体で喜んでいます。」と感謝の言葉をいただきました。また、校長先生(写真左下)からは、「前の校舎は劣悪な状態だったため、勉強する意欲が起こらない生徒が多かったのです。新学期からは雨漏りや屋根の倒壊などを心配する必要がなくなり、生徒たちの勉強に対する意欲や興味関心が上がること、間違いありません。」と話してくれました。視察したとき、学校は夏休みでしたが、普段小学校に通っている子どもたち(写真右下)が顔をみせてくれ、「前の学校はいつ天井が落ちてくるのかと心配しながら勉強をしていたけど、新学期からは、このきれいな教室で勉強ができると思うととても嬉しいです。」と喜びを顔いっぱいに表しながら話してくれました。
校長先生(右から2番目)、コミュニティー・リーダーたちと(C)PWJ/Mayako USHIDA
インタビューに応えた子どもたち(C)PWJ/Mayako USHIDA
2003年4月のイラク戦争終結後、クルド自治政府教育省の指揮のもと、学校建設が進められていますが、人口の急激な増加や予算不足により対応できていない地域がまだたくさんあります。PWJでは、このような地域において、教育環境が特に悪い学校を中心に支援を続けており、今年6月からはイラク北部のアルビル州において、7校の小学校改築事業を開始し、今年12月完了を目指しています。
*本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。
報告:牛田眞也子(海外事業部)