[動画] 生計支援物資を配布しました ~ヤギ配布の様子~
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、帰還が遅れているスリランカ北部において、帰還した人々がその地域で生活を始めることができるように支援しています。
約30年続いた内戦の終結後、破壊された故郷に帰ってきた多くの人々が直面したのは、家も仕事もない厳しい生活でした。生計支援物資は、帰還した人々が現金収入を得て、自分たちで家計を支えることにつながります。そこで、少しでも収入が向上するように、対象の全世帯に対して一軒一軒、家族構成や内戦前にどのような職業についていたのかなどを調査することから始まります。
これは、世帯毎のさまざまなリクエストに応えるためです。例えば、畑作を再開するための野菜の苗や農業用ホースのパッケージが必要な世帯。養鶏を始めるために、ひよこと小屋のパッケージを選ぶ世帯。ヤギを飼っていた経験があるので、繁殖用ヤギのパッケージがほしい世帯などです。
2012年1月から5月、住民61世帯に生計支援物資を配布しました。今回は、生計支援物資として農業パッケージ、養鶏パッケージ、ヤギ・パッケージを受け取った住民の声をお届けします。
農業パッケージを受け取ったマラコディさん
「支援物資として農業用ポンプ、落花生、豆、バナナの種をもらいました。収穫量を多くするため、雨季に向けて土地を耕し、作付面積を増やせるように準備しています。夢は収穫を増やして子どもの教育費として貯蓄ができるようになることです。」
このように意気込みを語ってくれたマラコディさんは夫と子供2人の4人家族です。夫は日雇い労働で現金収入を得ていますが、生活は不安定で厳しいそうです。
内戦中に使った防空壕
耕した土地に苗を植えました
養鶏パッケージを受け取ったルクミさん
「鶏の世話をしているときだけは、悲しかったことを忘れられるよ。大切に育てるとこの養鶏は3か月後に卵が産めるようになるんだ。大学生になる孫に卵を見せることが夢だよ。」
ルクミさんは夫と息子を内戦で亡くし、売店を営む娘の仕送りを頼りに、今は1人で暮らしています。心深く傷ついた彼女を支援するため、近所の人びとの協力も求めました。その結果、比較的に力作業の少ない養鶏パッケージを配布することに決めました。写真の取り小屋は、近所の人たちの協力で建てたものです。
配布したひよこ。3か月後には卵を産めるようになります。
ヤギ・パッケージを受け取ったジャナキさん
「故郷の地に戻って仮設の家が提供されたけど、生活手段がなく、家の庭で野菜を作って細々と暮らしていました。配布されたオス1頭とメス2頭の合計3頭のヤギと一緒に新しい生活を始めます。早く繁殖させて、お金を貯めて孫と一緒に暮らせる家を建てることが夢です。」
このように再出発を誓うジャナキさんは、夫と2人家族です。内戦前は乳牛を6-7頭とヤギ5頭を飼育していましたが、避難するときに連れて行けませんでした。長かった内戦が終わって戻った時には、飼育していた乳牛やヤギに再会することはできませんでした。
【動画】生計支援物資配布の様子
立派に成長した農作物、鶏、ヤギを目にする日はもうすぐです。そしてこれらが生活の糧となり、人びとがふるさとの地で安定した生活ができるように、PWJは支援を続けています。