シリア危機シンポジウムのご報告
今世紀最大の人道危機と言われ、国連や世界各国が支援に乗り出しているシリア危機。8月3日(土)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所と(特活)ジャパン・プラットフォームの共催により国連大学で開催されたシンポジウム「シリア危機:日本の人道的役割-いま私たちにできること-」に、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)イラク駐在スタッフの深川が登壇し、現場からの報告を行いました。
シンポジウム会場
ヨルダンのシリア難民キャンプを訪れたアンジェリーナ・ジョリー
現在、日本のNGO8団体が、シリアと国境を接するトルコ、レバノン、イラク、ヨルダンでの活動を展開。食料・物資配布、雇用支援、学校の建設、心理社会的ケア、難民キャンプでの障がい者支援など、現地のニーズに合わせた活動を積極的に実施しています。
PWJは、イラクのシリア難民キャンプの一つ、ドミズキャンプで食料配布と雇用支援を行っています。ドミズキャンプには、東京ドーム20個分以上の広さに4万~5万人のシリア難民が生活しており、PWJ深川から現地の様子が伝えられました。
PWJのイラク駐在スタッフ深川
まず、PWJはキャンプに新たに到着する新規難民世帯に対して基礎食料を配布しています。これには理由があり、新規難民が国際機関の食料プログラムに組み込まれるまでに、通常一か月かかるため。妊婦や授乳中の家族のいる、脆弱性の高いグループに対する食料支援も行っています。
イラクのドミズキャンプ
PWJからの支援物資
さらに、雇用支援に関しては、フィールドスタッフが就職を希望する難民世帯を回って聞き取り調査をしており、集めた情報をデータベース化し、地元行政と連携しながら行政オフィスや民間企業へのマッチングをしています。
聞き取り調査を行う現地スタッフ
今後の課題として、厳しい冬を迎える前に、難民の人びとのニーズを把握して準備を整えていきたいと、深川から決意が示されました。
朝晩は氷点下の気温になる冬のドミズキャンプ
最後にUNHCR駐日事務所代表のヨハン・セルス氏より、シリア危機に対しては各国政府や国連の支援だけでは十分でなく、市民社会からの援助の必要性も訴えていかねばならない、との発言でシンポジウムは締めくくられました。
UNHCR駐日事務所代表ヨハン・セルス氏
報告:田代 範子(コミュニケーション部広報)
▼関連リンク
・シンポジウムの詳細-UNHCRシンポジウムレポート
・シリア難民支援のお願い
・イラクからの現地活動報告
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