【モルドバ】子どもたちが学び続けられる環境を「スマートクラス」で提供
ピースウィンズは、ウクライナの子どもたちが避難先でも勉強を続けられるよう、オンラインで授業を受けられる教室「スマートクラス」を運営しています。昨年末から今年2月にかけて、モルドバ全土で計5か所開設し、すでに90人以上の子どもたちが利用しています。
避難所のひと部屋を一部リフォームして「スマートクラス」を開設(ゴルデニ県)
合計90台のパソコンを設置
初回に勉強道具一式を提供
電源の入れ方を習って嬉しそうに自分でやってみる女の子
ウクライナでは、戦争の中にあっても子どもたちの学びが滞らないように、多くの学校が授業をオンラインで配信しています。そのため、パソコンと通信環境さえあれば、避難先の外国でも、多くの児童が以前通っていたウクライナの学校の授業を受けることができます。
以前通っていたウクライナの学校が配信する授業を受ける女の子
この教室に通う児童の保護者であるヤロスラバさん(36)が、インタビューに答えてくれました。
「2022年2月24日の侵攻を忘れることはありません。何が起きているのか分からないまま、夜中の3時半に飛び起き、地下鉄の駅に逃げました。その時の、子どもたちの怖がる目が忘れられません。下の子がいつも散歩に行きたがる公園に爆弾が落ちた後、ようやく砲撃はやみました。その時から、私たちの人生の針は止まっています。
その後、パニックになりながらも、なんとか国境を越えました。ただただ、子どもたちを安全な場所に、という思いだけがありました。そうして今、モルドバにたどり着いて半年以上が経ちます。
ウクライナからの避難民には色々な人がいます。目指す避難先など抱える事情はそれぞれ異なりますが、家に帰りたい思いは同じです」
その日が来るまで、できるだけウクライナにいる時と同じように学習を続けられるよう、このスマートクラスが活用されることを願っています。
●イースター(復活祭)の一時帰国
ウクライナ正教会では、4月16日にイースター(キリストの復活を祝う日)を迎えました。家族が集まる大事なイベントでもあるイースターは、ウクライナの人々が郷愁を募らせる時期でもあります。このため、モルドバにいるウクライナ避難民の中には、イースターの間だけ一時的にウクライナに戻ることを検討している人もいます。モルドバには、車で4時間ほどの南部オデーサからの避難者が多く、家族や親せきが残っている人もいるからです。オンライン教室には、親と共に一時帰国するため、児童が数日欠席するという連絡が何件か寄せられていますが、イースター明けには、子どもたちの賑やかな声がオンライン教室に戻ってくることでしょう。
復活祭に欠かせないイースターエッグ。ウクライナでは伝統的に生卵を使う
戦争が長期化する中で変化し続ける人々の多様なニーズに対して、柔軟な支援が求められています。今後も、ピースウィンズは、ウクライナ避難民への支援活動を継続してまいります。
※この事業は、ジャパンプラットフォームからの助成金および個人・法人の皆さまのご寄付により実施されています。