【南スーダン】南スーダンで暴動が発生、緊急支援を開始しました
世界全体の難民の出身国のなかで、多くの割合を占める南スーダンは、周辺国から多くの難民を受け入れている難民受け入れ大国でもあります。2024年末時点で、南スーダン国内において難民として登録されているのは約52万2千人で、難民の出身国は主にスーダンやエチオピア、コンゴ民主共和国です。特に、隣国スーダンからの難民が多く、登録難民の90%以上を占めます。南スーダンでは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や現地政府が中心となって調整を行い、難民を受け入れ、現地の人びととの共存を促進しながら難民への支援が展開されてきました。
そうした状況下で、スーダン国内で南スーダン人が集団殺害されるという事件が発生し、関連動画・画像がソーシャルメディアで拡散されたことをきっかけに、1月15日の週には、南スーダン国内において反スーダンを掲げた略奪や放火、殺人行為が発生しました。特に南スーダンの首都ジュバには、約5,000人のスーダン難民がいますが、都市部や町中で生活するスーダン人が標的にされました。その結果、スーダン人の多くは警察に駆け込み、そしてUNHCRの調整によりジュバ近郊のゴロム難民居住地区で一時的に保護されることになりました。彼らは、現在も警察や治安機関の保護下にあり、帰宅できない日々を送っています。
この緊急事態をうけ、ピースウィンズは、ゴロム難民居住地区の水衛生分野の支援担当機関として、同居住地区内の学校など3施設に緊急避難している約2,000人のスーダン難民を対象に支援を開始しました。UNHCR及び他の分野で支援を展開する他機関と連携しながら、まずは避難所となっている、中等学校に仮設の貯水タンクを設置しました。この学校は開校の準備中で、給水設備が未整備であったため、貯水タンクから水を引いて設置した仮設の給水スタンドに繋ぎ、水を使える環境を作りました。貯水タンクには、毎日、給水トラックで水を運び、給水しています。
また、現地では流行性感染症であるコレラが流行していることから、避難所での受け入れ前には施設の清掃を行っています。さらに、避難所及び難民居住地区内での手洗いなど基礎衛生管理を徹底するよう、衛生啓発要員による呼びかけを行い、対策にも力を入れています。これらの初動対応に加えて、他にどのような支援を実施できるか、現在、関係者と検討と調整を行っているところです。
ゴロム難民居住地区は、今回の緊急事態が発生する前に、既に定員を大幅に超える約15,300人のエチオピアやスーダン、その他の国からの難民を抱えていて、最低限の生活に必要な水衛生やその他の分野でインフラやサービスが不足し、支援が必要とされてきました。都市部から同難民居住地区内に避難するスーダン難民は、日に日に増えています。治安部隊のパトロールや夜18時から朝6時までの外出禁止令の緊急施行により、大規模な騒動は収まってきました。今後も同難民居住地区へのスーダン難民の増加が続く場合、生命の維持と尊厳ある最低限の生活に必要な水へのアクセスをいかに向上できるか、またいかに感染症の流行を抑えることができるかが重要となってきます。早急に事態が収束することと祈りつつ、引き続き支援を実施していきます。
本事業は、個人・法人の皆さまからのご寄付ならびにUNHCRの助成により実施しています。