続く余震と早まる雨期
1月12日の地震発生から2ヶ月が過ぎました。つい最近も、明け方や夜中に体で感じられる余震が何度かあり、そのたびに裏手のキャンプから人々の騒ぎ声が聞こえてきます。時間はどんどん経過していますが、状況がよくなっているとは必ずしも言えないようです。懸念されている雨季も、今年は例年より早まるようで、雨が降る日が増えてきました
「Cash for Work」で働く人々
(C)PWJ/Mami MUKAI
■首都ポルトープランスの町の様子
ハイチ政府による瓦礫撤去プログラム「Cash for Work」で働く人々の姿が街のあちこちで見られるようになってきました。しかしまずは公立学校や主要企業のオフィス、病院などからとりかかっているようで、サンドイッチ状につぶれ瓦礫の山と化した家々の多くが依然そのままの状態で残されています。これらの撤去を個々人でやると考えてみただけでも途方に暮れてしまうほどです。しかしその瓦礫の中から、鉄筋など使えそうなものを探し出している人たちもあちこちで見られます。
被災した方々は、ハイチ政府の用意した無料交通手段などで田舎に帰郷した人も多くいるようですが、それ以外の方々は今も空き地に自然発生的にできたキャンプや自宅前の道路などで暮らしています。
写真左:自力で使えるものを取りだす人
写真右:自宅前にテントを張って暮らす人たち
(C)PWJ/Mami MUKAI
■支援の行き届かないキャンプ
私たちは支援対象者の選定のため、ハイチ人スタッフとともにキャンプの調査を続けていました。主要道路に面した大きなキャンプなどは、国際援助団体からのテントやプラスティックシートが供給され、飲み水やシャワー用水、医療センターなどがすでに設置されていることがほとんどです。しかし外からは見えにくい塀の向こう側に広がるキャンプや、細い道の奥にある小さいキャンプなどは、テントどころかプラスティックシート、水の支援すら届いておらず、人々が木とぼろ布で覆っただけの環境で暮らしているところもまだまだ多くありました。さらに、首都ポルトープランスの中心地から離れた、アクセスの悪い地域などは、私たちの調査以前には「どこの団体も来てくれなかった」ようで、明らかな偏りが見受けられます。
写真左:テントが並ぶキャンプ
写真右:布で覆っただけのキャンプ
(C)PWJ/Mami MUKAI
■「雨が降ったら立ったまま寝る」
あるキャンプで出会ったルイスさん一家は、地震で父親を亡くし、5人の子どもと母親の6人でここで暮らしています。
「私の家は全壊してしまいました。ここは自分の土地じゃないから、もちろん戻って家を建て直したいと思っています。でもいつそんなことができるようになるんだか。。。」と母親が話してくれました。このところ、大雨が降る日が増えてきました。シートで覆っただけのこの空間では、雨は否応なく入り込んできます。
「雨が降り始めたら、上の2人の子どもはキャンプの他の大人がみてくれて、下の3人の子どもたちは私と一緒にいます。子どもたちはみんな、泣きながら雨がやむのを待つのよ」。
また、別のキャンプで一つのシートに3家族の15人で生活している女性たちは「夜はこうやって地面に寝転がって寝てるのよ」とその様子を見せてくれました。「雨が降ってきたらどんどん水が入ってくるから、立って寝るの」。
地べたに寝る被災者
(C)PWJ/Mami MUKAI
水や食料はもちろんですが当面の暮らしのためには、本格的な雨季に入る前に、テントやプラスティックシートがもれなく行き渡るよう配慮する必要があります。
ピースウィンズ・ジャパンは現在、テントやプラスティックシートなどの配布の準備に急いでいます。