ヴォインジャマに現地で珍しい「つるべ井戸」建設
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)はリベリア・ロファ州で、帰還民の支援を進めていますが、このほどヴォインジャマで新たに集落共同の井戸を建設しました。現地では、手動ポンプ式の井戸が広く普及していますが、PWJは今回、完成後の維持管理のしやすさに着目して、日本やアジア各地で見られるつるべ井戸をつくりました。他の地域では、つるべ井戸も見られるものの、ロファ州では、複数の支援団体が井戸の設置を行っていますが、つるべ井戸は、これまで全くといっていいほど見当たりません。
(C)PWJ/Shitau MIURA
つるべ(釣瓶)とは、井戸の中の水をくむために、縄の先につけられた桶などの容器を意味します。つるべ井戸は、掃除も容易で、つるべや縄なども、住民たちが簡単に直すことができます。PWJではこれまでの井戸建設の経験から、住民自身が維持管理できる、つるべ井戸をロファ州に導入することを考えました。
意外なことに、住民たちは反対でした。「井戸を設置してほしい」との要望を受けて、数カ所の集落を訪れましたが、いずれも「つるべ式は面倒」「労力がいる」などの声が上がりました。維持管理のしやすさなどを説明するうち、受け入れる集落が出てきました。
「容易な修繕」が一番の目的であるため、井戸建設に使う資材はすべてリベリア国内で入手可能であり、定期的に交換が必要になる部品は、住民がとくに容易に入手できるものである必要がありました。PWJは、現地代表を中心にエンジニアたちと話し合いを重ね、井戸のデザインや資材の種類などを決めていきました。
最適な素材を探すために、首都モンロビアとロファ州を何度も往復しながら、建設を進めました。初めての様式のために、とまどっていたのは住民だけではなく、PWJの現地スタッフも当初はなかなか、つるべ井戸の良さを理解できませんでした。一つ一つの手順を手探りで進めたため、完成までには予定よりも時間がかかりました。
写真右:井戸の管理について学習する住民たち
(C)PWJ/Shitau MIURA
このつるべ井戸が、とうとう完成です。スタッフはもとより住民にも大きな達成感がありました。井戸の引き渡し前には、主だった住民を招き、井戸管理のために必要な手順などを学習する講習会を開きました。自分たちの井戸をどうやって管理するか、何が大切なのか、住民から質問がどんどん出てきます。みんな、大変な熱心さで講習に参加していました。
井戸の引き渡し当日は、あいにくの小雨でしたが、集まった住民は繰り返し感謝の言葉を述べ、責任をもって井戸を管理していくことを約束してくれました。
(C)Peace Winds Japan
*この事業は、「フェリシモ 地球村の基金」の協力を得て、実施しました。