【パレスチナ】終わりの見えない紛争下で、人びとの命を守るために
ガザ地区では2023年10月の情勢悪化以降、確認されている死者が5万1千人を超え、負傷者は11万6千人に達しました。2025年3月18日に停戦が破られてから4月中旬までに、少なくとも40万人が再避難を余儀なくされました。4月24日時点ではガザ地区全体の約70%の土地がイスラエル軍によって退避命令を受けているため、多くの人びとは残りの30%の土地に押しやられ、過密状態の避難所や風雨をしのげないテントでの暮らしを強いられています。
飢餓と水不足も、日を追うごとに厳しくなっています。3月上旬から検問所は完全に閉ざされ、ガザ地区外からは援助物資・商用物資共に入っておらず、国連機関は「住民に配る食料の備蓄が底をついた」と発表しています。ガザ地区は元々イチゴやオリーブなどの農産物が豊かに実る土地でしたが、今や農地の82%がダメージを受けているため食料生産も容易ではありません。また、戦闘で破壊された水・衛生設備は89%に上り、人口の91%が深刻な水不足に直面しています。

人びとの命を繋ぐための物資の入手が一層困難になっていますが、ピースウィンズは、あらゆる手段を講じて支援活動を継続しています。2025年2月から4月には、ガザ地区中部デール・アル・バラハやガザ市、北ガザ県等の避難民キャンプで、野菜、食用油、小麦粉、調味料等の食料と、洗剤、石鹸等の衛生用品を延べ2,556世帯に配付しましたが、これらの物資は、現地団体を通じて複数の卸売業者から購入しました。また、現地の給水業者を通じてガザ市の海水淡水化施設から水を購入して、ガザ市の約1万6千人が滞在する避難所に清潔な飲み水を届けました。

ガザへの攻撃が続き、家族を亡くした人が多くいます。ピースウィンズから食料、衛生用品を受け取ったある女性は、北ガザ県ベイト・ラヒアの自宅が攻撃され、夫を亡くして収入源を失い、特に過去2ヶ月間には何の支援も受けられなかったそうです。彼女は、「特に稼ぎ手を失って貧困に喘ぐ未亡人や、身寄りのない孤児に支援が行われることを願います」と話してくれました。
その他にも、攻撃によって経営していた食料品店が破壊されたり、重傷を負って移動が不自由になった人たちが野菜や衛生用品を受け取りました。


ピースウィンズは、今後も脆弱な立場に置かれた人びとに寄り添い、少しでも状況を改善できるよう活動していきます。またこれ以上尊い命が失われることのないよう、一日も早い停戦を国際社会に強く訴えてまいります。