被災の首都-あらゆる街角に「SOS!食糧・水・医薬品」
ハイチ地震の被災者支援のため、現地入りしているピースウィンズ・ジャパン(PWJ)スタッフは、1月21日以来、被害の大きかった首都ポルトープランスなどで詳しい調査を行い、支援開始に向けた準備を進めています。派遣中のPWJ事業責任者、山本理夏から、現地で目の当たりにした被災地の厳しい様子を伝える報告が届きました。
(情報は原則として現地時間の1月21日〜22日の様子。断片的な情報のため、全体的な傾向とは異なる場合があります)
地震により倒壊した建物 (C)PWJ
【被害およびキャンプ】
ポルトープランスの中心部では、大統領府や保健省、財務省などの主要な建物がすべて崩壊しており、その前にかなり規模の大きい被災者キャンプができている。このキャンプは、その前を車で通り過ぎるだけでもかなり強い臭いがするなど、衛生環境が劣悪と思われる。
その裏手につながる住宅街は、崩壊している箇所が多い。近所数件が全部壊れていたりする箇所もあった。コンクリートでできた2階建ての家が壊れていて、中級クラスの住民が直接的な被害を多く受けているように感じられた。
幹線道路の瓦礫は撤去されているが、建物の崩壊した跡はそのままになっている。住宅街に入ると、道路に瓦礫が積み重なっているため、通過が難しい場所がかなりあった。重機は町中にあるが、全部の道をきれいにするまでにはなっていないようだ。
学校も全壊した (C)PWJ
【被災者の生活】
被災者は自宅が残っていても余震を恐れて外で寝ている。被災者キャンプに移動しているというよりは自宅前や近所の駐車場、スーパーの空き地などにシーツなどを張って生活している。一般道路が閉鎖されて住民の生活の場になっているところも見受けられる。
暴動が起きていることはない。給水車には順番待ちの列ができていた。それなりに秩序はあるように思った。炊き出しにむらがる人も最初はごちゃごちゃしていたが、子ども→女性→男性という順番で受け取っていた。
市外の親戚宅へ向かっていると思われる市民の車両をかなり見た。
夜になると停電で市内は真っ暗。外で生活している住民が静かに歌っている声が聞こえる。歌詞は宗教的な内容らしく、互いに励まし合っているようだ。
避難生活を送る被災者 (C)PWJ
【支援の動き】
NGOや国連などの車両をみかけることは少ない。小規模な物資配給は目にしたが、まだまだ支援は行き届いていない。給水車には、長い列ができている。食糧を運んでいるトラックを多く見た。
あらゆる街角に、「SOS! 食糧・水・医薬品」などと英語で書かれた紙などが貼られている。支援を待っている様子がうかがえる。
山本は「まだまだ食糧、衣料、水などの基本的なニーズが高い。テントも足りていない。援助は全然足りていない」と伝えてきています。PWJは、一刻も早く、物資配布などの支援を開始できるよう、物資の輸送や調達などの準備を進めています。
【現地に派遣中のPWJスタッフ】
PWJ事業責任者 山本 理夏
PWJ海外事業部 齋藤 雅治、北原 聡子